ビューティ

「バルクオム」が美容室市場で好調 秘訣はスキンケアメニューの提案にあった

 メンズスキンケアブランド「バルクオム(BULK HOMME)」は、2020年10月からヘアサロン市場での展開を強化、売り上げ・取り扱いサロン数を伸ばしている。「バルクオム」といえばメンズスキンケアを代表するブランドの1つで、ECでの展開が中心。そうしたブランドがサロン市場に注力する理由と、サロンでの提案内容について担当者に聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):ヘアサロン市場を強化し始めた経緯は?

木下達哉「バルクオム」スペシャルリテールディビジョン ディビジョンマネージャー(以下、木下):コロナ禍でリアルショップのテスターやサンプルが試しにくい状況となり、お客さまに「バルクオム」製品を手に取ってもらう機会が減っていました。その一方でブランド認知は高まっており、「ユーチューブやツイッターで見たことあるけど、どんな使用感なんだろう」「いい香りって聞くけど、どんな香りなんだろう」などと、“興味はあるのにタッチポイントがない”という状況の男性が多かったんです。そうした状況下で「製品とお客さまとの接点を作るには……」と考えたとき、男性が定期的に赴く場所としてヘアサロンに着目しました。

WWD:それ以前もヘアサロンでの取り扱いはあった?

木下:ありましたね。取り扱いサロンは拡大中でした。ただサポート体制が整っていなかったため、昨年10月を機に体制を強化しました。具体的には、「バルクオム」の公式の体験メニューを設けたり、メニューの宣伝に使う画像を提供したりと、細かなサポートを始めました。メニュー名に「バルクオム」とつける提案も行いました。

WWD:どんなメニューを設けた?

木下:お店単位でアレンジしてもらっているのですが、ヘアカット+ヘアケア+スキン(頭皮)ケアといったメニューが一般的です。例えば、ヘアカットと「バルクオム」製品を使用したシャンプー&トリートメントの後、タオルドライをし、“頭皮用美容液”を使ったヘッドマッサージを施す“簡易ヘッドスパ”メニューは人気ですね。メンズカットのオプションメニューはあまり多くないので、「オプションによって差別化することで、男性客の顧客化をサポートできれば」という思いから提案を始めました。タオルドライ後にイスを倒し、スチームを当てながら“美容液マスク”をし、“乳液”をつけ、フェイシャルマッサージを施すというメニューも人気です。普段からフェイシャルマスクを使っている男性は少ないので、新鮮な体験になっていると思います。

WWD:乳液も使わない人が多い。

木下:そうなんです。男性には“化粧水が先か乳液が先か”分からない人も多い。信頼を得ている美容師がケア方法を伝えることで、ヘアサロンに“正しいスキンケアを体験できる場”という付加価値が生まれれば、という思いもあります。

WWD:こうしたメニューの料金は?

木下:サロンによって違いますが、通常のメニュー料金+ワンコイン(500円)というお店が多いですね。お手軽な金額ですが、シナジー効果もあるようで、「メニューを設定したら『バルクオム』の店販売り上げが4倍に伸びた」というサロンもあります。体験してもらって良さが伝わると、店販品購入のハードルは下がりますね。

WWD:サロン店販で人気のアイテムは?

木下:売り上げ1位は“洗顔料”(100g、2200円)、2位が“化粧水”(200mL、3300円)、それから“乳液”(100g、3300円)“シャンプー”(200g、3300円)“トリートメント”(180g、3300円※価格は全て税込)と続きます。サロンではヘアケアよりもスキンケアの方が売れていますね。“洗顔料”がエントリーとなり、ヘアケアに手を伸ばしていただくケースも多いです。

WWD:現在の取り扱いサロン数は?

木下:関東圏を中心に、全国で500店舗くらいです。昨年5月に放送を開始した、木村拓哉さんを起用したテレビCMの影響が大きく、一気にブランド認知と信頼度が上がりました。6月と7月は、取り扱い店舗数が前月の約2倍になり、それ以降も増えています。昨年の5月は、ちょうど緊急事態宣言が解除された頃。家でテレビを見ている美容師が多かったことも、影響力が高かった要因の1つだと分析しています。

WWD:一般的にサロン専売品は、“サロンでしか買えない製品”が好まれる。ECで売れている「バルクオム」が、サロンでも人気の理由をどのように分析している?

木下:まず「バルクオム」の認知が高まった分、「試してみたい」というニーズも高く、サロンユーザーに「あの『バルクオム』が行きつけの美容室で体験できる」と好意的に思ってもらえたことが大きいと考えています。また、使うのに専門的な技術を必要としないハードルの低さから、ホームケアの提案につなげやすい、という理由もあると思います。

WWD :サロン市場での現在の売り上げと、今後の目標は?

木下:ブランド全体の売り上げから見ると、サロン市場での売り上げはまだまだ少ないですが、伸び率は高いです。昨年10月から今年3月までの前年同期比は約130 %増で、緊急事態宣言下も、導入サロンの多くが客数を落とさなかったと聞いています。しかし、導入店舗におけるメニューの導入率はまだ10~15%程度。30%くらいにまで伸ばすのが当面の目標ですね。

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