ファッション

女性の政治家とファッションの関係 スタイルアイコンとして注目集めるハリス次期副大統領

 きたる1月20日、アメリカの首都ワシントンにて民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)次期大統領の大統領就任式が行われる。同時にカマラ・ハリス(Kamala Harris)次期副大統領が就任し、アメリカで初めてとなる女性の副大統領が誕生する。11月7日(現地時間)に行われた勝利演説では、「私は初めて副大統領になる女性かもしれないが、最後ではないだろう。今夜これを見ている全ての小さな女の子たちが、アメリカは可能性の国だと理解するからだ」と歴史的瞬間を祝うスピーチを行った。

 これまで男性が副大統領を務めた232年間、彼らのファッションへの言及がなかったことを考えるとハリス次期副大統領のファッションについて言及する必要性を疑問視する声もある。しかし混乱が続き民主主義が揺らぐアメリカで、女性を中心とした多くの人はハリス次期副大統領を強さの象徴としてみている。そしてこれまでミシェル・オバマ(Michelle Obama)やメラニア・トランプ(Melania Trump)夫人など、歴代ファーストレディーに焦点を当ててきた米「ヴォーグ(VOGUE)」は、ここにきてジル・バイデン(Jill Biden)夫人より先にハリス次期副大統領を2月号の表紙に迎えて特集した。

 ハリス次期副大統領はというと、スタイリストやデザイナーも含め彼女のファッションへのコメントは一貫して控えている。また、ハリス次期副大統領陣営は彼女が発信するメッセージに焦点をあててきた。ハリス次期副大統領が有色人種の女性で、成功している人物だからこそ、ファッションアイコンとしての地位を確立するともいえる。公職を通して力と名声を獲得したハリス次期副大統領にリーダーとして憧れ、服装を真似したいと感じる人もいるだろう。

 すでに複数のブログやインスタグラムアカウントには、ハリス次期副大統領のファッションを分析するものが登場している。2020年9月にミシガン在住のライターであるスーザン・ケリー(Susan Kelley)が立ち上げたウェブサイト「ホワットカマラウォア(WhatKamalaWore)」もその一つだ。

 ケリーは「ベラ・アプツーグ(Bella Abzug)やシャーリー・チザム(Shirley Chisholm)といった象徴的な女性の時代に育ったが、彼女らを軽んじる記事の数々があったのを覚えている。今も昔もそういうものに対して疑問を感じるところはある。しかしこの極めて重要な時期に、ハリス次期副大統領は人々を引きつける人物だ。彼女はファッションを使ってメッセージを強調しており、それが彼女の価値を下げるようなことはない」と述べた。

 ハリス次期副大統領のファッションを追う中で、「ハリス次期副大統領は黒とネイビーのパンツスーツやボウタイ付きシルクシャツ、『マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)』のシューズ、『ティンバーランド(TIMBERLAND)』のブーツ、『コンバース(CONVERSE)』、『シャネル(CHANEL)』のバッグを愛用している。中には15年以上着続けているアイテムもある」と分析する。さらにケリーは公平性の観点からは、ハリス時期副大統領の夫であるダグ・エムホフ(Doug Emhoff)のファッションや、バイデン次期大統領のネクタイや靴下も取り上げたいという。

 近年、マデレーン・オルブライト(Madeleine Albright)元国務長官や故ルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg)最高裁元判事、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長などの名だたる女性の政治家たちはファッションをツールとして使用してきた。ハリス次期副大統領がもしファッションを活用していくのならその前例は十分あり、ファッションウオッチャーたちがしかるべき取り上げ方をするよう準備は整っている。

 20年8月にはヴィットリア・ヴィニョーネ(Vittoria Vignone)がインスタグラムアカウント「カマラズ・クローゼット(Kamala’s Closet)」を立ち上げた。1月現在はウェブサイトも開設し、着用した洋服の紹介と、同じアイテムや似たアイテムを扱うショッピングサイトへ誘導するファッションサイトに成長した。

 ヴィニョーネはウェブサイトやアカウントに関して、「これらはハリス次期副大統領ありきで始まったもの。彼女の政策や、移民の子だという事実に衝撃を受けた。私自身も移民で、同じ女性として彼女がどのように自分を見せているかに注目している。最初に人として惹かれて、次第にどんな洋服を着ているのか気になっていった」と語る。普段ブレザーを着用することのない彼女の妹までもがハリス次期大統領に感化されてブレザーを探し始めたということもあり、影響力の大きさを実感しているという。

 ハリス次期副大統領のファッションについて、「彼女は自分の立ち位置や見せ方に注意をよく払っている。ブレスレットの一つには蓮モチーフのものがあるが、彼女の名前はサンスクリット後で『蓮』を意味する。彼女の選ぶものは全て意識されていると感じる」と評価する一方で、ジル・バイデン夫人のファッションについては、「彼女のことも誰かが真剣に取り上げたらいいと思う」と述べた。「彼女たちは、着ているものにスポットライトが当てられても関係ないくらい真剣に捉えられ、尊重されている」と語った。

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