ファッション

語源から想像した「育む」の魅力 エディターズレター(2020年8月7日配信分)

※この記事は2020年8月7日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

語源から想像した「育む」の魅力

 久々ビューティ業界に“どっぷり”浸かることになり、今、いろんな方々にお会いしています(オンラインも多数です)。すると案の定ファッション業界の話になりまして(ファッション業界の皆様、朗報です。やっぱりビューティ業界は、ファッションに興味津々ですw)、良きも悪きもざっくばらんに話して本心を伺うのですが、結構な頻度で「『育む』の姿勢があればいいのに!」とのお声を頂戴します。

 なるほど。確かに「育む」は、ビューティ業界ではよく聞く言葉、なのにファッション業界ではなかなか聞かない言葉です。

 ビューティの「育む」は、説明するまでもありませんね。スキンケアでは、お客さまの健やかな肌を「育む」。ホリスティックなら、心地よいライフスタイルを「育む」。最近はメイクアップにさえスキンケア成分を配合していますから、「装いながら『育む』」なんて解釈も可能です。で、百貨店ブランドの美容部員などは、まさに消費者の肌を「育む」接客をすることで、その関係性さえ「育んで」いるワケです。

 一方ファッションは、消費者をどう「育んで」いるでしょうか?ん~、例えば地方のセレクトショップは顧客のワードローブを把握してクローゼットを「育んで」いるでしょうし、他の小売りも外商顧客や上顧客には「育む」接客を少なからず実践しているでしょうが、ビューティほどではないかもしれません。思い浮かんだのは、「ブルネロ クチネリ」。毎シーズンのクリエイションはもちろん、接客においても「昨年のアレにピッタリ」なんて提案をしてくれます。ワードローブを「育む」提案で、素敵ですよね。

 「育む」という言葉の語源は「羽(は)で含(くく)む」、つまりは親鳥が小鳥を大事に「羽で包んで育てる」にあるそうです。「羽で包まれた」小鳥は、どんな気持ちでしょう?安心感を覚え、甘え、離れず、なんだか親離れ・子離れに苦労しそうです(笑)。でも、この関係性がブランドと消費者で構築できたら、最高じゃん!!「大辞林」で語源を調べながら、そんなコトを考えました。

 ファッション業界は、どうすれば「育む」のマインドを取り入れられるでしょうか?経年変化が楽しめる商品?結構地道な直筆のお手紙?双方向なLIVE配信?それも含めたOMO?イロイロありそうですね。でも一番大事なのは、下のリンク1本目で紹介している通り、そしてビューティ業界の美容部員の接客のように「販売する」こと自体が、「関係性を『育む』こと」と認識することでしょう。「売っておしまい」の人が多すぎる!一度ビューティ業界の方に、「育む」ってなんですか?と聞いてみるのも良いかもしれません。

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