ファッション

ベールを脱いだ新生「ジバンシィ」 クリーンなテーラリングにハードウエアや激しいテクスチャーをミックス

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」は10月4日、マシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)新クリエイティブ・ディレクターの手掛けた2021年春夏コレクションを発表した。これまでジョン・ガリアーノ(John Galliano)やアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)といった実力派デザイナーが率いてきた老舗クチュールメゾンに34歳で抜擢された彼のデビューコレクションは、今シーズンのパリコレ最大のトピックだ。しかしランウエイショーは開かず、オンラインでウィメンズとメンズのルックを公開した。

 同日、パリ・モンテーニュ通りにあるショールームで行われたプレビューで、ウィリアムズは「コレクションに特定のテーマはない」と語り、プロダクト重視の考え方を明かす。それを最も象徴するのは、ハードウエアだ。コレクション発表に先駆けて公開したビジュアルも南京錠やチェーンなどにフォーカスしていたが、「自分にとってハードウエアはとても大切な要素であり、新しいプロジェクトに取り組むときは常にそこからスタートする」という。そして、それらを新たなブランドシグネチャーとして、アクセサリーだけでなくウエアやバッグ、シューズのデザインにも取り入れていく。自身のブランド「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」でもローラーコースターバックルで人気を確立し、「ディオール(DIOR)」のメンズコレクションのバックルデザインも手掛ける彼らしいアプローチと言えるだろう。

 ハードウエアに加えて、今シーズンのウエアの鍵となるのは、直線的なテーラリングとハードなテクスチャーやプリントだ。「今の時代、メンズとウィメンズは流動的がいい」という考えから、共通した素材やシルエットを採用したアイテムも多い。テーラードジャケットやコートはボクシーなシルエットで、ウィメンズでは“グラブ・スリーブ”と呼ぶ袖を浮かせたようなデザインを提案。一方、メンズは隠しボタンもしくはハードウエアの留め具で仕上げた。そのクリーンな印象と相反するように組み合わせるのは、溶岩やひび割れた地表のような荒々しいテクスチャーに加工したジーンズや型押しクロコダイルレザーのアイテム、タトゥーのようなグラフィック。オーバーサイズのスタンドカラージャケットやアノラックなど、カジュアルなアイテムもある。また、「アーカイブから創業者ユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)の透け感のある素材使いや装飾を研究し、それをいかにモダンに表現できるかに取り組んだ」とウィリアムズが語るように、ウィメンズのイブニングでは、ビジューやパールを飾ったシアドレスや背中の大きく開いたニットドレスなどセンシュアリティーを探求した。

 バッグはアイコンの“アンティゴナ”を再解釈。マグネット開閉を採用した長細いハンドル付きの新デザインを提案する他、ゴツいチェーンでアレンジしたモデルや縦長のミニバッグ、ボディバッグなどもラインアップする。また、新しいアイコンとして、ユニセックスな“カットアウト”バッグも2サイズで打ち出す。やや猟奇的にも感じる角型のヒールやツノの付いたキャップは、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)時代のアーカイブからヒントを得たもの。ゴールド&シルバーカラーのインパクトのあるアクセサリーに加え、厚底のスライドサンダルやエアソールのスニーカー、ストラップ付きiPhoneケース、ウォーターボトル、コンパクトに折り畳めるサングラスなど若い層でも手が届きそうなアイテムが豊富で、顧客の裾野を広げることにつながりそうだ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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