ファッション

マシュー・ウィリアムズ参加で「ジバンシィ」はどうなる?

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」の新たなクリエイティブ・ディレクターに、「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」のマシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)が6月16日付で就任した。4月に退任を発表したクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)の後任として7人目のクチュリエとなった同氏は、メンズとウィメンズを含む全てのクリエイティブを手掛ける。「ジバンシィ」における初のデザインは10月頃に発表する予定だ。

 ウィリアムズは就任に当たって「ジバンシィ」の公式インスタグラム上にボイスメッセージを投稿。「『ジバンシィ』に迎えられて、本当に光栄に思っている。メゾンを率いることは私の長年の夢だったが、それがこうして実際にかなえられてみると、まるで現実味がなくてまさに夢のようだ。この上なくうれしいことだが、時期的にビタースイートでもある。この未曾有の時代を生きる中、世界に希望のメッセージを送り、ポジティブな変化を起こせるように貢献したい」と語った。

 また同ブランドの親会社であるLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)に対して、「私を信頼し、長年の夢をかなえる機会を与えてくれて心から感謝している。独自のポジションを築き、時代を超えたタイムレスなオーラを持つ『ジバンシィ』は間違いなくアイコニックなブランドだ。チームやアトリエの皆さんと共に働くことを楽しみにしている」とコメントした。なお、「1017 アリックス 9SM」はそのまま継続する。

 「ジバンシィ」はLVMH傘下のブランドとしては比較的小規模で、「ディオール(DIOR)」「ルイ・ヴィトン」「フェンディ(FENDI)」などの陰に隠れがちではあるが、優美で上品な魅力がある。今回のウィリアムズの就任によって、「ジバンシィ」はリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)が率いていた時代のように、上品さに加えてクールでエッジの利いたブランドとなる機会を得たといえるだろう。一方で、新型コロナウイルスの影響でショーが延期や中止となったり、デジタル化されたりと、ファッション業界も大きな変化を余儀なくされている中での船出でもある。

 シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)LVMHファッショングループ(LVMH FASHION GROUP)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「マシューが2016年のLVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH Young Fashion Designer Prize)のファイナリストにノミネートされたときから注目しており、彼がその類いまれな才能を開花させていく様子を喜びとともに見守ってきた。マシューの現代性に対する唯一無二のビジョンは、新たな章を迎えた『ジバンシィ』を力強く成功へと導いてくれると確信している」と語った。

 ルノー・ド・レスケン(Renaud de Lesquen)=ジバンシィ社長兼CEOは、「マシューはデザインやクリエイティビティーに対する大胆なアプローチに定評がある。メゾンの優れたアトリエやチームと連携することで、『ジバンシィ』の可能性を最大限に引き出してくれるだろう」と述べた。

 現在34歳のウィリアムズはシカゴで生まれ、カリフォルニア州ピズモビーチで育った。服飾デザイナーとしての技術は独学で身につけている。「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」で経験を積み、いまや伝説のグループと称されるアート集団ビーントリル(BEEN TRILL)をヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)やヘロン・プレストン(Heron Preston)らと共に結成。レディー・ガガ(Lady Gaga)やカニエ・ウェスト(Kayne West)のクリエイティブ・ディレクターを務めるなど、業界内では早くから頭角を現していた。

 15年には、自身の娘の名前を冠した「アリックス」(18年に現ブランド名に変更)を設立した。当初はウィメンズのみだったが、17-18年秋冬からはメンズも始動。“アグレッシブ・エレガンス”をテーマとした工学的なデザインのバックルベルトやポーチといったアイテムから人気に火が付き、ストリートウエアの寵児として瞬く間に脚光を浴びるようになった。

 また18年には「ディオール」のキム・ジョーンズ(Kim Jones)=メンズ アーティスティック・ディレクターに依頼され、バックルやクリップなどハードウエアのデザインを手掛けている。2人は長年にわたって親交があり、ウィリアムズとその妻が結婚式で着用したスーツやウエディングドレスはキムがデザインしているほか、娘の名付け親でもあるという。同じく18年7月には「ナイキ(NIKE)」と、20年には「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」と協業するなど、ラグジュアリーストリートのトレンドをけん引するデザイナーとして活躍してきた。

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