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英コメディアンが自分の名前を「ヒューゴ・ボス」と改名 ブランドは「歓迎する」と争わず

 イギリスのコメディアン、ジョー・ライセット(Joe Lycett)が自身の本名をヒューゴ・ボス(Hugo Boss)と改名したことについて、ドイツのファッションブランド「ヒューゴ ボス」は、「ジョー・ライセットを『ヒューゴ ボス』ファミリーの一員として歓迎する」とコメントし、争うつもりがない姿勢を示した。

 ライセットは英国で消費者の権利を題材としたテレビ番組の司会を務める人物だ。3月1日に改名のための届け出を行ったと自身のツイッターに投稿し、ヒューゴ ボス社が「“ボス”という言葉やそれに類似した言葉を使用する零細企業や団体に対して警告書を送付している。小さなビール醸造所にも警告書が届いたことで、その醸造所はリブランディングと紛争解決費用に何千ポンドも支出しなければならなかった」ことが改名の理由だと説明した。

 「ヒューゴ ボス」は、ライセットが指摘した醸造所のボス ブリューイング(BOSS BREWING)との争いについて、「同社がビールと被服の分野で使用していた『ボス』『ボス ブラック』を商標登録出願したことを受けて、当社は消費者の混同を避けるために協議をすべくコンタクトをとった」とコメントした。「両社は解決策を見つけるために建設的な話し合いを重ねた結果、『ボス』『ボス ブラック』の名称を少し変更することで合意した。柔軟な発想を持つ当社は、いかなる言葉も独占するつもりは一切ないことを明確に伝えたい」とした。4カ月におよぶ協議の結果、ボス ブリューイングは「ボス」および「ボス ブラックという名称を「ボス ボシー(Boss Bossy)」と「ボス ブリューイング ブラック(Boss Brewing Black)」に変えることと、アパレルは取り扱わず、飲料のみをその名称で販売することに合意した。また、醸造所のマネジャーが現地メディアに語った内容によると、紛争にかかった費用は約3万ポンド(約411万円)だったという。

 ライセットは改名を機に「『ヒューゴ ボス』名義で新製品を発売する」と発表している。商標専門の弁理士は、ライセットが発表する新製品がアパレルの場合は、新たな争いの火種になる可能性があると指摘する。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中