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「エミリオ・プッチ」がゲストデザイナーを招へい 第1弾は「コーシェ」デザイナー

 カラフルなプリントが代名詞のイタリアブランド「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」は、コレクションの戦略転換を図る。現在はデザインチームで手掛けているが、2020-21年秋冬シーズンからはブランドの豊かな歴史を再解釈するゲストデザイナーを招へいし、コレクションを制作。鮮やかなパッチワークやプリント、クチュールの要素とストリートスタイルを掛け合わせたデザインで知られるパリコレブランド「コーシェ(KOCHE)」を手掛けるクリステル・コーシェ(Christelle Kocher)=デザイナーが、そのスタートを飾る。彼女が手掛けたウエアとアクセサリーは、ミラノ・ファッション・ウイーク期間中の2月20日に披露される予定だ。

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下に入り20年になる「エミリオ・プッチ」は、これまでクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)やピーター・デュンダス(Peter Dundas)、「MSGM」のマッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)らさまざまなデザイナーをクリエイティブ・ディレクターに起用。ジョルジェッティが退任した2017年からは、ブランドを前進させる最善策として社内のデザインチームがコレクションを手掛けてきた。

 しかし近年、「モンクレール(MONCLER)」や「トッズ(TOD’S)」にもみられるように、正式なクリエイティブ・ディレクターを起用せず、連続的にコラボレーターを迎えるビジネスモデルは増加しつつある。シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)LVMHファッショングループ(LVMH FASHION GROUP)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「このアプローチは、LVMHグループやそのリーダーであるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼CEOの情熱であるクリエイティビティーの注入をさらに強化することになる。コレクションに必要なのは、フレッシュで新しいこと。ゲストデザイナーにある程度の自由を与え、彼ら自身のビジョンを表現してもらう」と話す。また、人選については「現時点ではファッションデザイナーにフォーカスする」とコメント。実際のところ、多くのデザイナーは正式な契約よりもむしろカプセルコレクション制作のオファーを好んでいるようであり、「エミリオ・プッチ」が今後有名デザイナーと協業する可能性があることも示唆した。

 一方、「エミリオ・プッチ」は新戦略について、「素晴らしいアーカイブに触れることで、ブランドのヘリテージであるプリントやライフスタイル、コレクションに革新的な解釈をもたらしてくれることを“クリエイティブな才能たち”に託す」と説明している。今回選ばれたコーシェ=デザイナーは、自身のブランドに加え、シャネル傘下で羽根飾りなどを手掛けるアトリエ「ルマリエ(LEMARIE)」のアーティスティック・ディレクターも務める実力派。彼女が持つクチュールのノウハウやストリートウエアのアティチュード、ユースカルチャーのエネルギーが高く評価されての起用となった。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。