繊維商社ヤギの2026年3月期連結業績は、売上高が前期比3.1%増の859億円、営業利益が同18.3%増の42億円、経常利益が同28.1%増の48億円、純利益が同39.8%増の36億円だった。2期連続で増収、利益はすべての段階で2ケタ成長を達成し、過去最高を更新した。決算会見で「事業ポートフォリオの変革が明確な成果として表れた1年」と、八木隆夫社長が総括したように、ブランドリテール事業と高付加価値素材を軸とするアパレル事業が成長をけん引した。
特筆すべきは収益構造の改善で、売上総利益率は31.7%と、12.6ポイントも改善した。また第4四半期(1〜3月)の売上高は高付加価値素材を軸とした営業活動を強化した結果、過去5年の第4四半期で最高水準となった。将来の成長を見据えた戦略的な先行投資も実施。3月に東京本社を移転したほか、人材投資やブランド向け広告宣伝費に集中投下したが、「コスト増を十分吸収した上で通期で高い利益水準が確保できたことは、本業の稼ぐ力が一段と強まっていることの表れ」と、八木社長は自信を見せた。
セグメント別では、ブランドリテール事業が売上高が25.3%増の133億円、利益が93.6%増の20億円と大幅な増収増益。主力ブランド「タトラス」の銀座旗艦店が通期稼働したことに加え、インフルエンサーと連動した広告展開が奏功した。タトラス単体では売上高122億円、経常利益21億円でいずれも過去最高を更新。店舗数も22店舗から30店舗へ拡大した。ダウンウェアブランド特有の季節変動という構造的な課題に対しては、夏物ラインナップの拡充で通年収益化が進んでいる。
売上高の5割を占めるアパレル事業は売上高が1.8%増の443億円、利益が18.6%増の35億円で増収増益。新領域への拡大、特にユニフォームなど機能素材が求められる高付加価値素材の展開と、既存得意先との取り組み強化により、価格競争に左右されにくい構造を構築できたことが好業績につながった。「逆風の中でも高付加価値へのシフトを進めてきた。提案型ビジネスが市場に深く浸透し評価されたことの表れ」と八木社長は強調した。
マテリアル事業は売上高が3.4%減の247億円、利益20.9%減の5億8000万円と減収減益。環境配慮型素材をリブランディングした「ユナ・イトプロジェクト」が奏功し、オーガニックコットンは海外を含め堅調に推移したが、作業用手袋関連素材で価格競争が激化した。ライフスタイル事業は売上高が3.5%増の49億円、利益が5.9%増の4億4000万円で増収微増益。化粧雑貨はインバウンド需要の回復で国内販売が好調だったが、主要取引先の在庫調整の影響を受けた。
27年3月期の業績予想は売上高880億円、経常利益50億円。積極的な投資を継続しながら増収増益を目指す。1株あたりの配当金は156円とし、27年3月期には180円を予定する。
「本業でキャッシュを稼いで成長投資へつなげるという循環ができている」と八木社長。決算発表と同日には、2029年3月期を最終年度とする新中期経営計画「経営計画2029」も発表した。売上高960億円、経常利益60億円、ROE10%、PBR1倍超の達成を計画。マテリアル事業とアパレル事業を「収益事業」、ブランド事業とリテール事業を「成長事業」と定義し、成長投資に150~200億円を集中配分する予定だ。