ファッション業界のご意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。「グローバルワーク」「ニコアンド」など多数のブランドを展開するアンドエスティHD(旧アダストリア)が発表された。ファーストリテイリング、しまむらに続く国内3位のアパレル専門店である同社は、今どんな状況にいるのか。小島氏が過去の詳細なデータを踏まえつつ、詳しく分析する。
2025年9月にアダストリアから商号変更して持ち株会社体制となったアンドエスティHDの最初の本決算となる26年2月期は、「挑戦」と「失敗」が交錯し、増収・営業増益ながら純利益は減益で、売上高・利益とも期初の予想に届かなかった。今期(27年2月期)から木村治氏から福田泰生氏へ社長も交代して再出発することになったが、商号も変えて5回目の変貌※1.を図ったアンドエスティHDにどんな課題があり、どんな打開策があるのだろうか。
※1.5回目の変貌…アンドエスティHDは、過去4回ビジネスモデルを変更し、現在5回目となる「小売業を超えたファッションプラットフォーマー」への変革に挑む。1回目が紳士服店からメンズカジュアル店への業態転換(1973年)、2回目がチェーンストア化(82年)、3回目がストアブランドによるOEM・ODM型モデルへの移行(97年)、4回目が自ら企画・生産を手掛ける垂直統合型SPAへの挑戦(2010年)。
「挑戦」と「失敗」で業績予想未達となった26年2月期
アンドエスティHDの26年2月期は「挑戦」と「失敗」が交錯し、売上高は前期比3.8%増の3043億5100万円と3000億円台の大台に乗ったものの期初予想にはわずかに届かず(99.8%)、営業利益も同6.5%増の165億2400万円と期初予想比87.0%、当期純利益は同1.2%減の94億9800万円と期初予想比76.6%にとどまった。一株当たり当期純利益は205.86円と前期から1.47%低下し、ROEは12.0%と前期から1.1ポイント、24年2月期の20.9%からは8.9ポイントも落ち込んだ。ROAも7.0%と前期から0.4ポイント、24年2月期の11.3%からは4.3ポイント落ち込んだ。
「今後の成長の本丸」と位置付けるECプラットフォーム事業はGMV(流通取引総額)が14.8%伸びて462億円に達し、外部ブランドの流通構成比も9.7%まで高まった。外部モールを合わせたEC全体も4.8%増の763億円と、国内ブランドリテール売上高の28.8%に達した。その一方、連結売上高の87.3%を占める国内ブランドリテール事業は4.4%増の2658億300万円にとどまり、営業利益もわずかながら(3.2%)減益で、営業利益率は前期の6.0%から5.6%に低下した(営業利益にはHDを含む)。
グローバル事業は、アジアは伸ばしても米国事業の撤退で99.9%とわずかながら減収で連結売上高に占める比率は7.84%にとどまるが、営業利益は2.6倍と大きく改善され、営業利益率は5.8%と国内ブランドリテール事業(5.6%)を上回った。飲食事業の売上高は前期の14.0%増から1.1%増と急減速し、わずかに黒字転換したものの連結売上高の4.83%に過ぎず、業績への貢献は限られる。
これら営業損益に加え、特別損失に24年に買収したトゥデイズスペシャルののれんと無形固定資産の減損損失25億200万円、店舗の減損損失11億3700万円、米国事業譲渡に伴う関係会社株式売却損6億9500万円、他計47億3800万円、特別利益に福岡物流センターの固定資産売却益34億4600万円他を計上している。
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