パルグループホールディングス(HD)の2025年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比15.6%増の1170億円、営業利益が同19.4%増の140億円、純利益が同19.1%増の91億円だった。売上高、利益ともに上期として過去最高を更新した。「スリーコインズ」による雑貨事業の大幅増収に加え、ノーリーズの連結加入により、売上高は158億円増えた。「スリーコインズ」の300円以上の比較的高い商品がよく売れたこともあり、粗利益率は同1.1ポイント上昇した。
セグメント別では、衣料事業の売上高が705億円(同17.9%増)、営業利益が89億47円(同3.4%増)。各ブランドがSNSの活用でヒット商品を生み出した。柔軟に発注数量を調整する仕組みで在庫を圧縮した結果、粗利益率が改善された。一方、子会社ノーリーズは旧来の発注体制が足かせとなり、減収減益に終わった。
雑貨事業は売上高が462億円(同12.3%増)。「スリーコインズ」は300円超の付加価値型商品の比率アップで売上総利益率が改善し、営業利益が同61.9%増の51億円に達した。海外展開も順調で、7月に香港・ハイサンプレイス、8月にマレーシア・クアラルンプールに1号店を開業。香港店は開店以来、日本を含む全店で売り上げトップを記録している。
ECの売上高は同16.2%増の292億円。衣料事業に占めるEC化率は41.4%と高水準を維持する。自社ECサイト「パルクローゼット」のアプリ会員数は1241万人、社内インフルエンサーのSNSフォロワー総数は2200万超に拡大した。
通期(26年2月期)の業績予想は据え置く。売上高で2310億円(前期比11.2%増)、営業利益で264億円(同11.6%増)、純利益168億円(同42.2%増)を見込む。
ECが好調な一方で、実店舗の既存店売上高が伸び悩んだことから、下期はこれまでの「ECファースト」から「店舗ファースト」へと軸足を移す。中核事業会社パルの小路順一社長は「われわれの主戦場はあくまで店舗なので、既存店売上高を2ケタくらい上げる施策を秋から始めた。人気の高い社員インフルエンサーを現場に配置したり、実店舗から新商品を先行発売したり、既存店売上高の向上に注力する」と話す。成長が著しい郊外型アパレルブランド「ディスコート」と「チャオパニックティピー」は、通期でそれぞれ売上高130億~140億円規模を見込む。「スリーコインズ」は国内でグローバル旗艦店の出店を視野に入れ、ブランディングと組織化を進める。