
これまで豪華絢爛へと突き進んできた世界のファッションシーンだが、先立って6月に行われた2026年春夏パリ・メンズ・ファッション・ウイークで、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の新生「ディオール(DIOR)」がその潮流の変化を印象づけた。立ち上がったのは、日常や自分らしさに根ざす新しいラグジュアリーのかたちだ。その流れを汲むように、今季のニューヨーク・ファッション・ウイークから見えたキーワードは“クラフト”。それらは単なる装飾ではなく、着る人の“生き方”や“物語”を刻む手仕事として存在感を放った。移民都市であるNYの多国籍性、個人主義、そしてZ世代ならではのレトロ&ビンテージをミックスする感覚と結びつき、リアルクローズの文脈で新しい価値観を提案した。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月6日号からの抜粋です)
Z世代の感性で「遊ぶ」
オールドリミックス
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Z世代が多数を占めるNY。ファッションを「自己表現の一つ」と捉える若い世代の共感を誘う、個人的な「体験」や「記憶」に結びつく“レトロ”や“手仕事”の要素を取り入れたブランドが際立った。「コーチ(COACH)」は使い古した風合いのレザーアウターをプッシュ。ニットはあえてほつれさせ、ジーンズやペインターパンツにはダメージを施し、時間が刻まれたような味わいを作り出した。ガーリーとダークを行き来するキッチュな世界を提示したのは「コリーナ・ストラーダ(COLLINA STRADA)」。遊び心と社会性を同居させ、サステナブルな素材で環境意識へのメッセージを忍ばせた。
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