
百貨店の2極化が加速している。以前から強い店とそれ以外の店で明暗は分かれていたが、コロナ禍を経ていっそう極端な形になった。背景には富裕層とインバウンド(訪日客)の旺盛な消費による恩恵の有無がある。大都市の旗艦店や一番店は、過去最高業績の更新が相次ぐ。余勢をかって大型改装や新サービスが進む。国内外の超広域商圏を対象にした巨大百貨店へとビジネスモデルが変わろうとしている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月21日号からの抜粋です)
2024年度 エリア別百貨店の総額売上高
札幌

一番店・大丸が特選の拡充で首位固め
1位 大丸札幌店 882億円 16.9%⬆
2位 札幌丸井三越(丸井今井本店、札幌三越) 627億円 3.5%⬆
3位 東急百貨店札幌店 105億円 4.9%⬇
[東京]池袋

西武の大改装進む 東武は再開発準備へ
1位 西武池袋本店 約1400億円(推定)
2位 東武百貨店池袋店 1102億円 13%⬆
[東京]日本橋

三越と高島屋のデッドヒート続く
1位 三越日本橋本店 1616億円 5.7%⬆
2位 高島屋日本橋店 1605億円 7.5%⬆
3位 大丸東京店 845億円 7.9%⬆
[東京]新宿

独走する伊勢丹 電鉄系は再開発へ
1位 伊勢丹新宿本店 4212億円 12.1%⬆ 全国1位
2位 高島屋新宿店 1000億円 13.5%⬆
3位 京王百貨店新宿店 806億円 4.7%⬆
4位 小田急百貨店新宿店 357億円 2.3%⬆
[東京]銀座・有楽町

インバウンドで三越と銀座が急拡大
1位 三越銀座店 1241億円 18.5%⬆
2位 松屋銀座本店 1224億円 20.3%⬆
3位 阪急メンズ東京 139億円 2.6%⬆
横浜

ターミナルの東西で激しい集客競争
1位 高島屋横浜店 1424億円 5.8%⬆
2位 そごう横浜店 非公表
名古屋

名駅の王者・JR高島屋、栄の盟主・松坂屋
1位 JR名古屋高島屋※ 2154億円 11%⬆ 全国3位
2位 松坂屋名古屋店 1316億円 3.8%⬆
3位 名古屋三越(栄店、星ヶ丘店) 632億円 2.5%⬆
4位 名鉄百貨店 376億円 7%⬆
※タカシマヤゲートタワーモール含む
京都

高島屋はSC化効果で一千億円を突破
1位 高島屋京都店 1115億円 14.6%⬆
2位 大丸京都店 787億円 11.7%⬆
[大阪]阿倍野

ハルカスタウン化で来街者を増やす
1位 あべのハルカス近鉄本店※ 1242億円 2.5%⬆
※フープ、アンド含む
[大阪]キタ

阪急独走 四千億円台も視野に
1位 阪急本店 3653億円 16.3%⬆ 全国2位
2位 阪神梅田本店 647億円 2.0%⬇
3位 大丸梅田店 600億円 9.1%⬆
[大阪]ミナミ

インバウンドでにぎわう高島屋と大丸
1位 高島屋大阪店 1809億円 13.7%⬆
2位 大丸心斎橋店 1152億円 20.4%⬆
神戸

大丸の一千億円台が目前
1位 大丸神戸店 984億円 7.1%⬆
2位 神戸阪急 429億円 6.3%⬆
福岡

成長を加速する岩田屋、追い上げる阪急
1位 岩田屋三越(岩田屋本店、福岡三越) 1329億円 6.7%⬆
2位 博多阪急 694億円 11.3%⬆
3位 大丸福岡天神店 603億円 11.5%⬆
インバウンド減速 コロナ後の新しい局面に
旗艦店は成長か、踊り場か
巨大百貨店化が顕著なのが、東京・大阪・名古屋の一番店である伊勢丹新宿本店、阪急本店、JR名古屋高島屋の3店舗だ。いずれもコロナ禍を経て2024年度まで3年連続で過去最高売上高を更新した。コロナ前の19年度と比較すると、伊勢丹新宿本店と阪急本店が5割、JR名古屋高島屋が3割も増収している。
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