ファッション

「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」が描く魅惑的な黒の世界 デザイナー本人不在でも光る厳格な美学

ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVE)」の2025-26年秋冬オートクチュールのショーは、コレクションを手掛けるジョルジオ・アルマーニ不在の中で行われた。アルマーニは、6月のミラノ・メンズ・ファッション・ウイークを前に自宅で療養中であることを明かし、「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」と「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のメンズショーを欠席。クチュールは「自分自身はパリへ赴く準備ができていると感じていた」としつつも、常に彼の側で働くチームを信頼し、医師の助言に従って休養を伸ばすことにしたという。

多様な素材で表現する黒のエレガンス

そんな中、パリに構える拠点パラッツォ アルマーニで披露されたコレクションは、ニュアンス豊かな黒がもつ究極のエレガンスを描いたものだ。特にアルマーニは、「黒のエレガントで夜を思わせる、魅惑的な側面」を探求。「デザイナーにとって黒は、最もクラシックであると同時に、極めて高い精度が求められる色彩。黒を用いる際には、一切の誤りが許されず、細部に至るまで正確さと完成度が要求される。これは、黒が衣服の構造やデザインの本質を明確に浮き彫りにするためだ」と説明する。

ショーは、ジュエルトーンのコンパクトなジャケットに黒のベルベットを用いたジョッパーズパンツからスタート。その後も序盤はアルマーニらしいジャケットスタイルが軸になるが、構築的な肩のラインやペプラム、後ろ前やワンショルダーでアレンジしたデザインが目を引く。そして次第にジュエルトーンは暗闇に溶けるように消え、少しのゴールドやクリスタルの輝きを残しながら、ベルベットやメタリックシルク、チュール、オーガンジー、スパンコール、ラインストーン、フェザーなど多様な素材で表現する黒の世界が広がっていく。そのラインアップには、男性の正装から着想したようなテイルコートやタキシードからスリムなテーラードパンツにカマーバンド、ドレスシャツとボウタイまでマスキュリンなスタイルと、大きなボウやフェザー飾りが特徴のボディーラインに滑らかに沿うイブニングドレスやビスチエからシアスカートが広がるボールガウンといったフェミニンなアイテムが混ざり合う。

リモートでショーの現場を監督

今回、アルマーニは20年間にわたる「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」の歴史の中で初めてショーの現場に立ち会えなかったものの、ビデオ通話を通してフィッティングから構成、メイクアップまでをリモートで監督したという。自身の厳格な美学を追求するその姿勢は、「クリエイティブな作業こそが自分の存在理由」と考えるデザイナーらしい。

7月11日に91歳になった巨匠は、誕生日にコメントを発表。「過去数週間、私を気にかけてくれた人々の温かな支援を強く感じた」とし、家族や従業員、メディア関係者、SNSのフォロワーに感謝の意を表した。そして「9月にまた会いしましょう」と締めくくり、復帰を宣言。ミラノ・ファッション・ウイークでのウィメンズショーでその手腕を発揮し、フィナーレに元気な姿を見せてくれることだろう。

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