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創業以来毎年3倍成長を継続  LVMHが出資するノンアルコール「フレンチ・ブルーム」創業夫妻に聞くブランディング

PROFILE: 左から、ロドルフ・フレールジャン・テタンジェ、マギー・フレールジャン・テタンジェ / フレンチ・ブルームCEO、創始者

左から、ロドルフ・フレールジャン・テタンジェ、マギー・フレールジャン・テタンジェ / フレンチ・ブルームCEO、創始者
PROFILE: ロドルフは、フランス生まれ。シャンパーニュメゾン「テタンジェ」の創業者のひ孫。シャンパーニュ地方で育ち、兄弟のギョーム、リチャードと共にグランクリュとプルミエ・クリュのシャンパーニュ「フレールジャン・フレール」を手掛ける。また、1767年創業のコニャックメゾン「クタンソー・エネ」を復活させた。2019年に妻のマギーと立ち上げた「フレンチ・ブルーム」ではCEOとしてあらゆる製造技術とノウハウを注ぎ込んでいる。マギーは、ニューヨーク生まれ。「ミシュランガイド」でキャリアを積み、妊娠をきっかけに友人のスーパーモデルであるコンスタンス・ジャブロンスキーとフレンチ・ブルームを創業 PHOTO:SHUHEI SHINE

フランス発ノンアルコール・スパークリングワイン「フレンチ・ブルーム(FRENCH BLOOM)」から新作“エクストラ・ブリュット”が登場した。アルコール、糖質、亜硫酸塩はゼロで、わずか1カロリー。オーガニックのシャルドネを使用した酸味とミネラルが融合した複雑な味わいが特徴だ。新作発売を記念し、20周年を迎えた「マンダリン オリエンタル 東京(MANDARIN ORIENTAL TOKYO)」(以下、マンダリン)と協業で24日まで、同ホテルでペアリングコースやピクニックセットなどを提供。「マンダリン」の野坂昭彦ディレクターオブワインは、「ブドウの旨味が感じられ、自信を持って薦められるノンアルコールだ」とコメントしている。

「フレンチ・ブルーム」は2019年に「ミシュランガイド」出身のマギー・フレールジャン・テタンジェ創始者とシャンパン「テタンジェ(TAITTINGER)」の創設者のひ孫であるロドルフ・フレールジャン・テタンジェ最高責任者(CEO)が創業。創業のきっかけは、マギーの妊娠。市場に出回っているノンアルコールワインは糖度が高く食事には不向きだった。そこで、食事とペアリングできる「フレンチ・ブルーム」を考案し、シャンパン造りのノウハウと革新により試行錯誤を重ねて完成させた。その複雑な香りと味わいにより、一流ホテルやレストランが選ぶノンアルコールワイン。「フレンチ・ブルーム」は、昨年10月には、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が出資する初のノンアルコールのブランドになった。イベントのために来日した、テタンジェ夫妻に今後の戦略について聞いた。

フルコースにペアリングできるノンアルコール

WWD:新作“エクストラ・ブリュット(以下、ブリュット)”の特徴は?

ロドルフ・ フレールジャン・テタンジェ=フレンチ・ブルームCEO(以下、ロドルフ):脱アルコールの試行錯誤を重ね、ラングドック地方のリムーのブドウを採用している。このテロワールの土壌を感じさせる爽やかでミネラル感のある味わいだ。酸化を最小限に抑え、木樽で熟成。製造のレベルを引き上げたので、より複雑かつ余韻が感じられる。ドライで、酸味と塩味があり、食事とのペアリングにふさわしい。ホタテなどの魚介料理にぴったりで、子牛やラムなどのメインコースにも合うワインだ。

WWD:現在の商品のラインアップは?

マギー・ジャンフレール・テタンジェ フレンチ・ブルーム創始者(以下、マギー):4種類。“ル・ロゼ”ル・ブラン”“ラ・キュヴェ・ヴィンテージ2022(以下、ラ・キュヴェ)”に”ブリュット“が加わった。“ル・ブラン”は祝賀を含めた乾杯にふさわしく、“ル・ロゼ”はデザートに合う。“ブリュット”は食事に合うので、スパークリングだが、どちらかというとワイン的な存在、“ラ・キュヴェ”は、熟成した深みのある味わいが特徴。この4つのラインアップがあれば、フルコースにペアリングができる。

WWD:ターゲットと実際の購入層は?

マギー:当初、ターゲットは妊婦や健康的、宗教的理由から飲酒ができない人を想定していた。ところが実際の購入者の8割は、フレキシ・ドリンカー。全体の7割が女性で、年齢は20〜50代と幅広い。ノンアルコールであっても、ふくよかな味わいを求める層に選ばれている。“ラ・キュヴェ”は男性の割合が高く、ワインが好きなシャンパン愛飲家から支持されている。“ブリュット”はあらゆる人に好まれると思う。

ノンアルコール市場の広がりにより毎年3倍成長

WWD:現在何ヵ国で販売しているか?トップ3の市場は?

ロドルフ:50カ国以上。1位がフランス、2位がアメリカ、3位がイギリスと日本。日本はワインの愛好家が多く、大きなポテンシャルがある市場だ。

WWD:創業してからの売上高の推移は?

ロドルフ:創業以来、毎年3倍成長している。大きな要因は、飲酒に対する文化の変化が理由だ。世界中の消費者が節度ある飲酒をするようになり、味に妥協しない洗練されたノンアルコールドリンクの選択肢を求めるようになったのが大きい。また、ワイン同様の香り、味わいの深みを出すためにテロワールから製造までこだわり、高級ホテルやミシュラン星付きレストランなどで選ばれるようになった。ロンドンの「ハロッズ(HARRODS)」やパリの「ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)」など高級百貨店でも販売されている。それにより、ブランドの魅力や信頼性が高まっている。

WWD:ブランドの認知度アップのために行っていることは?

マギー:パリ・ファッション・ウィークや音楽の祭典「ブリット・アワード(BRIT AWARDS)」、音楽フェスティバル「コーチェラ(COACHELLA)」などに参加している。このような活動を通して、ファッションやスポーツ、文化、ビジネスで影響のある人々とのコミュニティーを築いてきた。「マンダリン」といった素晴らしいパートーナーとのコラボレーションもその一環だ。

LVMHのサポートでノンアルコールのプレミアムメゾンに

WWD:LVMHの出資比率は?初のノンアルコールブランドへの出資だが?

ロドルフ:30%。LVMHはノンアルコールという新しいカテゴリーに可能性を感じたのだと思う。また、「フレンチ・ブルーム」は、単なるシャンパンやワインの代替品を提供するのではなく、リムーのテロワールに根ざし、研究開発を行い独自の製造法(サヴォワフェール)を生み出した。一過性ではなく、長期的視野でメゾンとしての完璧さを求め歩んでいる点に関心を持ってもらえたのだと思う。

WWD:LVMHのパートナーシップに期待することは?

ロドルフ:新市場進出や市場拡大の大きな鍵になる。また、いかに、より良い商品を作るかというサヴォワフェールを深めるための研究開発も積極的にサポートしてもらえると思う。

WWD:今後のノンアルコール市場については?

ロドルフ:ノンアルコール市場は、もはやニッチではなくムーブメントとして捉えるべきだ。あらゆるカテゴリーにおいて、品質や経験を犠牲にしないラグジュアリーが求められる時代。「フレンチ・ブルーム」は、革新的な製造方法により、ノンアルコールでありながら高級ワインと同様に複雑なスパークリングワインを提供している。ノンアルコールのプレミアムブランドとして、味はもちろんのこと、ブランド体験両方を提供していきたい。

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