ファッション

建築現場の竹の足場から着想 エルメスが香港に大型店をオープン

 エルメス(HERMES)は11日、香港・セントラルのランドマーク・プリンスに新店をオープンする。オープン前日の10日には世界各地からジャーナリストを迎え、エルメス家第6世代のアクセル・デュマ(Axel Dumas)CEOとアーティスティック・ディレクターのピエール=アレクシィ・デュマ(Pierre-Alexis Dumas)らがホストとなり内覧会を開いた。

 香港の中心地に立つ同店は、3層で総売り場面積850平方メートル。“カレ”(スカーフ)などのシルクコレクション、香水、プレタポルテ、バッグ、靴、ジュエリー、ホームなど16部門のアイテムを揃える。世界の他の店舗同様、建築家ドゥニ・モンテル(Denis Montel)によるアーティスティック・ディレクションを元に、建築設計事務所のRDAIがデザインした。

 特徴的な格子状の外観は、香港の建築現場で見られる竹の足場からドゥニが着想を得たもの。外観こそ本物の竹ではないが、階段や仕切りなど店内は随所に明るい色調の竹を使用している。また、香港の多くの建物と同じく天井高が低いビルの構造は生かしつつ、吹き抜けを設けることで上層階に向けて広がる開放的な空間を創出。さらに、16の部門を仕切りで分けつつゆるやかにつなげた迷路のような導線など、狭い街に多くの人が暮らす香港の街の喧噪をほうふつとさせるリズムを取り入れた。同時に、パリにある非公開の博物館「エミール・エルメス・コレクション」から取り寄せたアート作品を随所に飾り、自宅に客を迎えるような親密さも演出している。

 エルメスは1975年に中国初のブティックを香港にオープン。同店は7店舗目で香港最大級となる。「エルメス」は世界の「メゾンエルメス」と呼ぶ大型店をパリや銀座、上海などに展開している。同店は「メゾンエルメス」ではないが、拡大する中国マーケットに向けて上海の「メゾンエルメス」に加えて、「エルメス」の歴史やカルチャーを含めて発信する場として位置づけているようだ。

 自身も香港でキャリアを積んだ経験があるというデュマCEOは「43年前に最初の店舗をオープンして以来、香港は重要なマーケットとして位置づけてきたが、経済的にも成長を続けているこのタイミングでベストなロケーションに広いスペースの店舗をオープンできてよかった。『エルメス』は常にクラフトマンシップとクリエイティビティーに対して“忠実”であり、そのことをこの店を通じて伝えたい」コメントしている。また、アートの選出なども担当したアーティスティック・ディレクターのピエール=アレクシィは「ここは“店以上”の存在でカルチャーを共有する場である。『エルメス』には偉大な歴史があるが、常に変化と進化をしてきた。この大きな家のような店舗で顧客迎えたい」と話している。

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