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実店舗ベースのテック企業ならではのARリテールを考える ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「ファーフェッチCEOが語る高級品リテールの未来」

読み解きポイント 「実店舗ベースだからこそできる『ストア・オブ・フューチャー』」

ニュースのポイント

 今や世界中のラグジュアリーブランドのアイテムが揃う巨大ECプラットフォームとなったファーフェッチ(FARFETCH)。著名ブランドを保有する会社を買収したり、売上高が前年比42.6%増を記録したり急成長を続ける一方で、決算発表後には株価が急落。来日したジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)創業者兼最高経営責任者(CEO)にファーフェッチの今と目指すべきラグジュアリーリテールの未来を聞いた。

Azuはこう読む!

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」や「キリン バイ ペギー グー(KIRIN BY PEGGY GOU)」などの人気ブランドを傘下に持つニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)を8月に買収し、今後はプラットフォーマーとしてだけではなくオリジナルブランドの開発など自社コンテンツの発信にも力を入れるファーフェッチ。ここで生きてくるのがプラットフォーマーだから持ち得る膨大な生データです。

 記事中ジョゼ・ネヴェスCEOが「ファーフェッチは、ラグジュアリーにおける消費者やリテールの動き、ブランドの考えを熟知した数少ないテックカンパニーだ」と語っているのが印象的でした。商材はファッションのラグジュアリーアイテムではあるものの、土台にあるのは圧倒的にテクノロジーなんです。

 7月には2017年に発表したリアル店舗のデジタル化プロジェクト「ストア・オブ・フューチャー」をパリの「シャネル(CHANEL)」旗艦店で実施(シャネルとは18年にデジタル戦略におけるパートナー契約を締結)。オンライン上で取得した顧客データと実店舗での行動データを分析、そして各店舗に提供することで店舗改善に活かすツールのようですが、これはまさに“実店舗ベース”のリテールテックカンパニー、ファーフェッチだからできること。自社で在庫を抱えるECプラットフォームが簡単にできることではありません。

 こうしたオンライン/オフラインの利点をミックスしたより快適な購買体験のことをファーフェッチは「AR(Augmented Retail)=拡張リテール」と呼んでいますが、中国発のニューリテールと同じような概念ですね。拡張現実と混ざってややこしいけれど、ARの方がカッコいいので、これからはこっちを使おうかな……。

 ちなみに、対比されがちですがファーフェッチは各店舗の在庫を利用するので、ZOZOやネッタポルテ(NET-A-PORTER)など自社で在庫を持つECとは戦う土壌が若干異なります。在庫の出所的に後者が実店舗の敵っぽく映るのに対し、前者は味方っぽく見えますが、そもそもどちらが良いか・悪いかという争いにはならないことを頭に入れておかないと、いつまでたってもオールド/ニューでリテールのあり方を隔ててしまうので、気をつけないといけないなーと思うのでした。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne