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「ヴォーグ」親会社のCEOが語る 動画と業績とリストラ

 「ヴォーグ(VOGUE)」や「GQ」などを発行する英コンデナスト・インターナショナル(CONDENAST INTERNATIONAL)と米コンデナスト(CONDENAST)が2019年4月に経営統合し、新たなグローバル最高経営責任者(CEO)として音楽配信会社出身のロジャー・リンチ(Roger Lynch)が就任して4カ月が経った。7月末には“新生コンデナスト”として初となる全社的なミーティングが行われ、業績や事業計画などについてリンチCEOが説明した。

 同氏によれば、17年の段階では英コンデナスト・インターナショナルと米コンデナストの売り上げ合計は赤字で、特に米事業は1億2000万ドル(約127億円)程度の赤字だった。業績不振は18年度上期まで続き、同下期はインターナショナル事業が持ち直したことで全体としては黒字となった。しかし米事業の赤字が足を引っ張り、19年度上期は再び全体として赤字になったという。なお、同下期は黒字になる見通しだ。

 地域別で見ると、コンデナストの売り上げは米国が56%を占めており、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)が28%、アジア太平洋地域が15%、南米が1%となっている。なお、19年度の米国事業は売上高で前年比4%の成長率を目指していたが、0.3%に下方修正された。同様に、EMEAも当初の4%から3%に、南米は15%から3%に下方修正された。堅調な伸びが見込まれるのはアジア太平洋地域のみで、4%から11%に上方修正されている。

 分野別の売上高では、雑誌(紙版)が36%、ウェブ広告が24%、コンシューマー関連が18%、動画が11%、その他(イベントなど)が11%となっている。依然として紙版の雑誌が稼ぎ頭ではあるものの、17年にはそれが50%強を占めていたことを考えると、15%程度減ったことになる。雑誌のブランド別では、「ヴォーグ(VOGUE)」が28%とトップで、「GQ」が13%、「ザ・ニューヨーカー(THE NEW YORKER)」と「ヴァニティ・フェア(VANITY FAIR)」がそれぞれ10%だった。

 リンチCEOは、「動画はいずれ10億ドル(約1060億円)規模の事業になると見込んでいる。この分野はまだ手を付け始めたばかりであり、大きく成長する可能性が高い。雑誌と異なり、動画やD2C(顧客直結型ビジネス)、業界向けのBtoBメディア、フード関連事業などはすぐに利益が出ないが、いずれも世界的なビジネスチャンスがあると見ている」と語った。

 ここ数年、コンデナストでは業績不振による人員削減が続いているため、今回の全社ミーティングでも従業員の関心は雇用関係に集中したという。リンチCEOは、「重複しているポジションがまだあるが、解雇する場合にはオープンかつ透明性の高い手順で実施する」と説明した。また買収について現段階での予定はないが、コンデナストの経営統合が落ち着いて軌道に乗れば検討する可能性もあるとした。

 リンチCEOは登壇中にも従業員からの質問を募り、今後は四半期ごとにこうした全社ミーティングを実施することを発表した。また20年前半までに、同社が事業を展開している32の市場を全て訪問する予定だという。同氏は前任者たちと比べ、よりオープンで従業員とのコミュニケーションを重視する社風をつくろうとしているようだ。「私は目標を設定し、目標達成のために不足しているものは何かを考え、それに基づいてコミュニケーションを取ることをモットーとしている。目標を達成できていないときこそコミュニケーションが重要だ。問題があることを認識して話し合わない限り、それを解決することはできないからだ」と述べた。

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