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インアゴーラが伊藤忠・KDDIと資本提携、日中越境ECの課題解決目指す巨大構想を発表

 中国向け越境EC「ワンドウ」を手掛けるインアゴーラ(東京、翁永飆・社長)が10月31日付けで、伊藤忠商事とKDDI、SBIホールディングスなどから第三者割当増資により総額6800万ドル(約76億円)の資金調達を実施したことを発表した。設立3年ながら、2年弱で合計約123億円の資本を調達したことになる。

 伊藤忠商事、KDDIとは資本業務提携を結び、共同で越境ECの事業促進を目指す。まずはインアゴーラが手がけるセレクトショップ「ワンダフル」をKDDIのECモール「ワウマ(Wowma!)」に出店し、初めて日本国内向けの販売を行う。同時に「ワウマ」に出店するだけで中国でも購入可能になるような越境EC支援を順次開始する。今後はインアゴーラが中国で行ってきたライブコマースなどのノウハウをKDDIと共同で国内展開していく計画だ。事業拡大にともなう物流拠点の確保も急務となるが、これについては伊藤忠商事との連携を模索している段階という。

 青海にあるインアゴーラの物流倉庫で会見を行った翁永飆(おう・えいひょう)社長は、「中国ではSNSがガラパゴス化し、日本企業が進出しづらい背景がある。われわれは独自の現地提携先を活用することで、日本製品を中国国内で人気商品にする仕組みを構築できた。その結果、2期連続で月次流通額の成長率10倍を実現している」と語る。鈴木善久伊藤忠商事専務執行役員情報・金融カンパニープレジデントは、「伊藤忠商事は繊維ではエドウイン、小売ではユニー・ファミリーマートホールディングスといったさまざまなノウハウを持っている。加えて、アジアでもCITIT、CPグループとの強い基盤がある。さまざまなチャネルを活用し、日中をつなぐ最強のプラットフォームを作りたい」と語る。

 また、インアゴーラは同日、日本製品を中国でより健全に流通させるためのシステム「ワンダージャパン・クロスボーダー・シンジケーション」を発表。商品マスターや通関データベース、受発注データ、越境物流サポート、翻訳機能などを一括管理するシステムで、日本ブランドはシステムに商品情報を登録するだけで、中国の最適化された販売チャネルで販売ができるようになる。大手流通・卸企業とともに越境 EC における中間流通の役割を担い、メーカーに対して中国市場参入を手助けする狙いだ。「日本と中国をつなぐ中間流通システムが存在せず、双方の情報が分断され、価格の混乱や欠品などの問題が生じてきた。特定の商品だけに人気が殺到し、すぐに売れなくなるなど、販売計画を立てづらいという課題もあった。これを解決し、越境流通を促進したい」と翁社長。今後、事業化に向けて、三菱食品や伊藤忠食品など国内の12社と共同で開発を進める。

 インアゴーラはキングソフトの翁永飆社長が2014年12月に設立。日本の商品に特化した中国向けECアプリ「ワンドウ」を手掛ける。「ワンドウ」には「東急ハンズ」「ロフト」など美容ブランドや日用品を中心に、2600ブランド・4万SKU(最小管理単位)が出店。中国の100以上のSNSメディアやKOL(キーオピニオンリーダー)と連携し、販売を行う。自社物流を活用することで、最短3日・小口単価700円での発送を実現している。最近では訪日客向けにアプリを活用し、日本国内でネット注文した商品を空港で受け取るオンライン免税店サービスも展開している。今後は調達した資金を活用しながら、18年に流通総額500億円、20年に流通総額1800億円を目指す。