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マークスタイラーが中国CITICグループ傘下に、日本の2大ガールズ企業が中国資本に

 「マーキュリーデュオ(MERCURYDUO)」「ムルーア(MURUA)」「エモダ(EMODA)」などを展開するマークスタイラーの全株式を、創業者の恵藤憲二・前会長が代表を務めるエトームから、中国系投資ファンド、シティック・キャピタル・パートナーズ(CITIC Capital partners)が買収した。4月30日付。なお、「マウジー(MOUSSY)」「スライ(SLY)」などヤングマーケット向けブランドを多く手掛ける好敵手であるバロックジャパンリミテッドは13年8月に、中国の靴小売り最大手の百麗国際(ベル・インターナショナル)などが筆頭株主になっており、ガールズ系の2大企業が中国系資本傘下入りしたことになる。

 シティック・キャピタル・パートナーズは香港を本拠地とするシティック・キャピタル・ホールディングス(CITIC Capital Holdings Limited)のプライベート・エクイティ部門で、中国、日本、米国の各々の企業を対象にした中国ファンド、日本ファンド、米国ファンドの事業を手掛けている。中国の産業・金融系国有コングロマリットであるシティック・グループ(CITIC Group)の経営資源・ネットワークを活用し、中国およびアジア地域での成長・拡大を図り、企業価値を高めた後、株式上場、または、売却すると見られる。

 なお、CITICグループには、伊藤忠商事が今年2月、タイ財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループと計1兆2000億円を出資している。4月30日にはCPグループやCITICグループと組み、ネット通販会社を設立することを発表したばかり。マークスタイラーのブランド群もこのプラットフォームを活用して中国での拡販を図る見通しだ。

 マークスタイラーは現在、19ブランド・約170店舗を展開している。日経新聞によると、買収額は60億〜80億円程度と見られるということだが、業界関係者からは、20億円台という声も聞かれている。主なターゲット層である10代後半から20代のヤングマーケットの市況が悪化する中で、昨年6月にはオーナーの恵藤憲二・社長が代表取締役会長に、秋山正則・取締役が代表取締役社長に復帰する人事を実施。さらに、9月には恵藤会長が退任。10月にはフレッド・シーガル部門とメディア・広告事業部門を分社化したほか、セレクトショップの「ヴァルビート81」や複数ブランドの閉鎖を行ってきた。「ハンアンスン」や「シセ」など買収した東京コレクション系ブランドの売却に続き、今年2月にはフレッド・シーガルを手掛けるMFSJを諸戸インベストメントとその関連企業セレンディップ・コンサルティングに譲渡している。

 事業の選択と集中や、チームによる各ブランドのMDの強化、事業部再編により意思決定の迅速化や、本社スタッフや販売の現場のモチベーションアップなどにも力を入れており、売り上げが回復するブランドも出てきている。また、知名度の高いブランドもあるため、新株主の下で早期に再成長軌道に乗ることを期待している。

【追記】
 マークスタイラーは5月1日、4月30日付で、エトーム傘下から離れ、CITICグループが新たに設立したMSインター ホールディングスの100%子会社になったと正式に発表した。なお、現経営陣の変更はなく、今後はMSインター ホールディングスとの緊密な連携の下、事業展開を加速し、新機軸の施策に取り組むとしている。

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