ともに2000年6月に創業したユークスとネッタポルテは、それぞれのアプローチでラグジュアリー業界におけるeコマースビジネスの創成期を形作った。イタリア・ボローニャ郊外に拠点を置くユークスはオフシーズンの割引商品を中心に販売し、トレンドベースの商品を扱うプラットフォームとしてザ コーナー・ドットコムを立ち上げた。「ジョルジオ アルマーニ(GEORGE ARMANI)」や「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「ディーゼル(DIESEL)」「アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)」などのブランドのECサイトのローンチと運営も請け負っている。一方、ネッタポルテはマルチブランドに注力しながら、メンズウエアのミスターポーターを立ち上げた。エディトリアルにも注力しており、オンライン・紙の両媒体でマガジンを創刊している。
無駄を省いた利益重視のビジネススタイルで着実に売り上げを伸ばしてきたユークスに対し、ネッタポルテは利益率では劣るが、ウェブサイトのデザイン性とプロパー価格での販売にこだわり、ファッション感度の高いユーザーの強い支持を得ている。「EC業界のバーグドルフ・グッドマン」とも呼ばれ、ラグジュアリー・ブランドとの親交も深い。ユークス ネッタポルテは両社の強みを生かし、最新トレンドの提供とオフシーズン商品のディスカウント販売、モノブランドのECストア管理をメーンビジネスとする。
同社は合併によって13億ユーロ(約1600億円)の売り上げを誇ることになる。アマゾンやアリババなどのオンライン大手と競合し、急成長中のマイテレサ・ドットコムやマッチズ ファッション・ドットコムなどの業他社の追随を許さない勢力になる。ヨハン・ルパート=リシュモン会長は「今日のeコマース業界において、既存のビジネスモデルは強力なテクノロジー大手に押されがち。ラグジュアリー業界の独自性を守るため、われわれがリーダーシップを強化する必要がある」とコメントした。
主に宝飾品を扱うメーンビジネスの傍らでネッタポルテの収益性を保つのに苦戦していたリシュモンにとっても、合併のメリットは多い。新会社のノウハウを生かした傘下ブランドのECサイトのローンチも予想される。現在、ラグジュアリー消費の94%は実店舗での販売によるものだが、19年には40%にまで成長する見込み(ユーロモニター調べ)で、ラグジュアリーにおけるECサイトの伸びしろにまだまだ期待できそうだ。