毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月3日号からの抜粋です)
小田島:7月13日号の「令和のプレイングマネジャー」特集が今回の特集の発端です。そこで痛感したのは、良い組織づくりにはやはり「人」が大事だということ。どんなビジネス戦略も、自分の言葉で語り、周囲に浸透させられる社員がいてこそ成り立ちます。人材流出の防止やエンゲージメントの向上が企業のミッションとなっている今、各社がどんな工夫を凝らしているのかを取材しました。沼さんが印象に残った企業は?
沼:今回表紙に選んだ「ジンズ(JINS)」です。神田にあるオフィスは5〜8階の執務エリアが吹き抜けで、開放的でとても気持ちいい空間でした。単なる“おしゃれ”“きれい”を超えて「こういうコミュニケーションを生みたい」「こういうマインドで仕事に向き合ってほしい」というメッセージを現場で体感。出社率が上がったという結果も出ており、社員にも伝わっているんだと思いました。また、創業地の前橋で取り組んでいる地域活性化の取り組みを本社でも取り入れていて、事業から組織作りまでの一貫した姿勢が社員の企業への信頼感につながっていると感じました。
「人」に投資する気持ちが大事
小田島:「オルビス(ORBIS)」は仕組みの構築に注力していましたね。同社は幹部から一般社員まで、共通の行動指針で評価を行い、並行して人事部と上長が1人ひとりに合わせた半期目標を設定しています。その人の特性を考慮し、理解してもらいやすい文言にまでこだわっているそう。かなりの労力だと想像しますが、その分モチベーションや納得感につながっていると感じました。
沼:ただ制度をつくり、効果測定をするだけではなく、浮かび上がった課題に対する改善案や対応策を表明することの重要性を各社の方々が話していたのも印象的でした。対応できていないことがあったとしても、きちんとそれを伝える透明性や、双方の信頼関係が大事だと思いました。
小田島:コミュニケーションが大事ですよね。時間も労力も含めて、経営者が「人」にどれだけ投資する気持ちがあるかが肝だと思いました。