社内イベント
ビームスは2026年2月に迎える創業50周年に向けて、24年11月に新たなビジョン「Happy Life Solution Communities(ハッピー ライフ ソリューション コミュニティーズ)」を設定し、「明るく楽しい社会現象を起こし、全ての人が幸せになれるコミュニティをめざします」と企業姿勢を表明した。そんな企業姿勢を存分に感じさせる社内イベントが、今年3月のインナーコミュニケーション部設置により、活発に行われるようになってきている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月3日号からの抜粋です)
ビームス
社長:設楽洋、ビジョン:Happy Life Solution Communities、創業年:1976年、従業員数:2320人(2025年2月末)、売上高:914億円(25年2月期)
改装前の原宿店で過去を語り、未来を描く
ビームスは明治通りの道幅拡大に伴うビルのセットバック工事のため原宿店を一時閉店中だ(仮店舗を「ビームス 原宿 アネックス」2階で営業中)。クローズした3日後の7月30日、同店で社内イベントを開催。設楽洋社長をはじめ、歴代店長を含む約200人の社員が集った。
什器が運び出された店内の2フロアそれぞれにDJブースを設置し、社員がプレーした。ドアのオープンと共に社員が続々と集まってきて、飲み物を片手に歓談する。2階のウインドーには、それぞれが思い思いのメッセージを描いた。
場が温まったところで、歴代店長によるトークセッションがスタート。原宿店の思い出をそれぞれに語った。原宿店はビームスにとって創業の地であり、数々の逸話とエネルギーにあふれた店だ。当然、歴代の店長はビームス愛とクセの強さを兼ね備えた猛者ばかり。「週末は壁に張りつかなければならないほどの混雑ぶりだった」「ここからいろいろなブームが生まれていくのを目の当たりにして刺激を受けた」といったことから、ちょっとヤンチャなエピソードまで。笑いが起こり、ヤジが飛ぶなど、アットホームな雰囲気で会は進行した。
「僕自身がそうだったが、『いつか原宿店で働いてみたい』というスタッフは、今も少なくない。文献などで歴史を知っていても、社長がどんな思いで原宿店を立ち上げたのかをリアルに知る機会は、なかなかない。直接話を聞くことでスタッフのモチベーションが上がったり、工事前の原宿店の最後に立ち会うことで、ビームスという会社への帰属意識が高まったりする機会になれば」と五味川尚・経営企画本部インナーコミュニケーション部部長。原宿店を管轄するエリアマネジャーから会の相談を受け、インナーコミュニケーション部がイベントを仕切った。
「店舗のアルバイトや若手スタッフから物流担当や原宿オフィスのスタッフ、役員まで、職種も年代も問わない有機的なコミュニケーションの場を作ることができた。40〜50代のスタッフからは『これがビームスだよね』という声が聞かれるなど、好意的な反響を得た。活動が認知され、他レーベルや若手との交流機会の創出依頼が増えたのも良かった」。
自分たちがコミュニティーを体現する

ビームスは離職率の低さで有名だ。2024年は、小売業界平均が14.6%(厚生労働省「雇用動向調査」)だったのに対し、ビームスは4.0%。「3年間の人事部時代に約90人と退職前面談をしたが、ほぼ100%が『人が一番の魅力だった』と語っていた。在職中の社員へのアンケートでは、同期・先輩・後輩に関係なく、あらゆるスタッフが仲間に近い感覚で仕事ができていると答えている️」。
そんなビームスだが、22年に事業部制から機能本部制へと組織変更したことにより、内勤の社員数が増え、内勤と店舗、部署横断のコミュニケーション機会が減少していた。また情報面では、20年から毎週水曜10時半から30分の経営企画本部による、フランチャイジーも含めた全従業員への配信(アーカイブ視聴可)を実施。社内の透明性は上がったが、有志による社内報やラジオなど社内メディアも複数あり、情報量過多や、受け手への配慮不足による重要情報の取りこぼしなどの課題があったという。
こうした課題に対応すべく、3月にインナーコミュニケーション部が発足。専任社員3人と兼任社員2人、役員1人の計6人で、社内コミュニケーションの活性化と情報の発信・整理を担う。
部のミッションは5つある。①従業員にやりがいをつくり、企業価値の向上につなげる。②情報が整理された状態を構築して情報の正しい理解を促進する。③企業のビジョンや方針を浸透させて経営層からのメッセージを伝播させる④広報と連動して社外を含めて連携していきながら戦略的なコミュニケーション術を確立する⑤インナーコミュニケーションの企画・立案と実行だ。
大事にしているのは、コミュニティー体験の創出だ。「コミュニティーの意義を体感してもらえる機会をつくることを軸として考えている。“Happy Life Solution Company”から“Happy Life Solution Communities”へ、カンパニーからコミュニティーへと会社のビジョンが変わったが、自分たちがコミュニティーを体現しないとお客さまに提案できないと思う。設楽は『人とのつながりを感じることのできるコミュニティーの中でこそ、ハッピーは起きる』と語っているが、そういったものを体現すべきだと考えている。さらに、そこで終わってはならず、従業員の行動変容やエンゲージメントにつながっているのかを可視化していかなければと考えている」。6.5坪で始まったショップは、今や2300人が働くカンパニーであり、さまざまな人を巻き込みながら、“全ての人が幸せになれる”コミュニティーへと進化する。
社員の声
「1993年からビームス 原宿に勤務したが、当時をリアルに体験したスタッフの参加も多くあり、原宿店を通してヤングジェネレーション(古い!)とシンクロできたグルーヴ感(これまた古い!!)、懐かしさが入り乱れて感慨深かった。本質を知ったうえで「傾く(かぶく)」、歌舞伎集団であるとビームスを捉えている」石橋一興さん(90年代末に原宿店次長)
「入社前から憧れていた店舗で社員の皆さまの熱意やチームのまとまりを肌で感じられるとても貴重な時間だった。普段は話す機会のない設楽社長や歴代のマネジャーから話を伺い、会社のカルチャーを体感した。来年のリニューアルオープンに向けて改めて、最もカッコいいイケてる店舗を目指したい」川内空さん(原宿リミテッドストア勤務)
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本部長バー

本社3階のバーカウンターとテラスで開催した。実際に本部長がカウンターに立ち、ドリンクを出したり、トークショーで自身のバックグラウンドを語ったり、質疑応答の時間を設けたりして、社員と親睦を深める。退勤後19〜21時で出入り自由。初回は約80人が参加した。配信などでは見えない本部長の背景や人柄、直接質疑の場として好評だという。すでに3回目を数えており、年内に「出張本部長バー」をビームス ライフ 横浜で開催予定。
家族・パートナー向けオフィス見学会

8月の平日3日間に90分ツアー形式で実施した。約35家族が参加し、未就学児〜80代まで幅広い層が来社した。これまで週末にオフィスを開放し、お祭り的なイベントをするファミリーデーの実施はあったが、平日に社員が働く中で、見学会をしたのは初めて。全フロア案内後、設楽社長が参加者に挨拶した。春休みなど大型休暇での継続開催を検討する。