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“ジャパンモビリティショー 2025”が開催中 “センチュリー”クーペや「ポール・スミス」×「ミニ」など注目モデル5選

日本自動車工業会は、自動車をはじめとする最新モビリティーがならぶ日本最大級の総合展示会“ジャパンモビリティショー 2025(以下、JMS2025)”を東京ビッグサイトで開催中だ。会期は9日まで。同イベントでは、国内外の自動車メーカーが、次世代コンセプトカーや新型車など世界初公開のモデルを多く披露する。2年ぶりの開催となる今回は、過去最多となる500社以上の企業・団体が出展した。本記事では、各自動車メーカーの出展ブースから特に印象的な5台をピックアップして紹介する。

”ジャパン・プライド“を世界へ
“センチュリー”クーペモデル

一番の人だかりを見せていたのは、同イベントの最注目モデルである“センチュリー”ブースだ。“センチュリー”は、セダンタイプとSUVタイプをラインアップするトヨタ自動車のショーファーカー(後部座席の快適性を重視した高級車)で、その2種のラインアップに加わる、2ドアクーペのコンセプトモデルを世界初公開した。

車高が高く直線的なラインが多い印象で、クーペスタイルの鉄板である“ワイド&ロー”とは距離のある、クロスオーバー風の堂々とした佇まい。一方でルーフラインからリヤにつながる滑らかな曲線は、スポーツクーペそのものだ。顔つきは四眼のスクエア型ヘッドライトと、ボディーカラーと同色で塊感を強調したグリルが特徴で、2023年に発売したSUVタイプと近い最新のデザインコンセプトでまとめられていることからも、市販車に近い建て付けであることが伺える。江戸彫金の鳳凰エンブレムや西陣織のシート、七宝文様を随所に施すなど、日本ならではのディテールを組み込んでいるほか、ドアは屏風のように左右にスライドし、車内に3席の独立シートを搭載した3人乗り。これまでのどの自動車にもみられない挑戦的な要素を多く盛り込んだ。

また同車の発表に加え、「トヨタ」の車種名の1つであった“センチュリー”を独立ブランドとして再定義し、同社の高級車ブランド「レクサス」の上位に位置付けた。プレゼンテーションに登壇した豊田章男トヨタ自動車会長は「日本には、モノづくりの技能や世界の人々を魅了する美しい自然があり、音楽やスポーツの世界でも、日本の魅力を世界に発信し続ける若者たちもいる。今こそ、『センチュリー』が必要なのではないかと思う。彼らと同じように、日本の心、“ジャパン・プライド”を世界に発信していくブランドに育てていきたい」と話した。

外装色はこれまで黒や白、グレーなど落ち着いたカラーリングをそろえてきたが、今回採用したのは鮮烈なオレンジだ。冒険とも言える色使いは、既存の価値観を超えようとする同社の挑戦を象徴しているようだ。

「レクサス」の6輪ミニバン
“LS コンセプト”

同じくトヨタ自動車から「レクサス」ブース。“DISCOVER”をキーワードとして、自動車のコンセプトモデルに加え、“空飛ぶ車”から船、あらゆる路地を移動可能なマイクロモビリティまでを展示し、都市生活に存在する全ての移動シーンを包括したライフスタイルを提案した。

中でも注目は、ミニバンタイプのコンセプトカー“LS コンセプト”だ。同ブランドで従来“Luxury Sedan”として展開しているフラッグシップセダンの車名である“LS”を、“Luxury Space”と再定義し、“真のショーファーカー”としての新たな移動空間の提案を目指したもので、6輪のホイールが特徴だ。

鋭いラインのヘッドライトや、ボディーの幾何学的なモールドなど、直線的で近未来的なデザインが目を引くが、最大の特徴はインテリアにある。通常、乗用車の3列目シートはスペース確保の優先順位が低く、乗り込むには2列目シートを倒す手間と時間が発生することがほとんどで、結果2列目シートの乗員を待たせてしまう。そんなシチュエーションを防ぐべく、後輪を4輪にして各ホイール径を小さくし、従来ホイールが占有していた垂直方向のスペースを大幅に削減。滞ることのないスマートな乗降を可能にしながら、4輪車では成し得ない広い室内空間を実現した。

運転席の前には、前後2枚のモニターを設置。手前のディスプレーにはナビゲーションなどの情報を表示し、奥のディスプレーには車体左右のカメラで捉えた映像を映し出す。これによってドライバーは頭を動かさず、視線移動のみで安全確認などの作業を行える。この機能は、左折時や車線変更などの際、確認のためにドライバーが頭を左右に振りながらミラーを確認する動作が、後席から見て美しくない所作だという意見から生まれた発想だ。あくまで主役は後席のVIP、その構造はまさに“真のショーファーカー”というコンセプトを体現している。

現行の“LS”といえばセダン。かつてはショーファーカーを代表するボディータイプであり、必然的に“快適な室内空間”を指すキーワードとしても成り立っていた。しかし、現在はSUVやミニバンで同等以上の快適空間が実現できる。もし仮に実際のラインアップで“LS”を“Luxury Space”に再定義するとすれば、それは現代の価値観に則した自然な変化だと言えるだろう。

新たなアイコン確立となるか
日産“パトロール”

日産自動車のブースは、日本のマンガ文化をモチーフにしたモノクロの世界観が印象的だった。コマ割りや集中線、吹き出しなどの要素を使い、会場全体を整理しているのが面白い。

ブース内でインパクトがあったのは新型の“パトロール”だ。昨年サウジアラビアなどの中東向けに発売し、人気を博しているというフルサイズSUVモデルだが、今回、日本市場への投入を発表した。時期は27年度前半を予定している。

全長は5mを超え、全幅は2m近い。遠くから見てもわかるほど、日本車離れしたサイズ感だ。道幅の狭い日本での取り回しには苦労するだろうが、ボディーの大きさに裏付けされた室内空間の広さは魅力の一つ。中東仕様ではV6のツインターボエンジンを搭載するなど、機動力を意識したパワートレインにも十分期待できる。日産の新たなアイコンとなり得るのか、今後明かされる価格や日本仕様などの詳細に注目したい。

イヴァン・エスピノーサCEOは「70年以上前、第1回東京モーターショーで“パトロール”を披露した後、現在に至るまで世界中で活躍してきた。日本では、7年の“サファリ”の生産を終了して以降、大型SUVはラインアップしていなかったが、70年以上にわたる歴史を礎にした同車は、日本市場においても類を見ない存在感を放つだろう」と語った。

走りの楽しさ滲ませるEV
スバル“パフォーマンスE STIコンセプト”

スバルは、“ブランドを際立てる”をコンセプトに、走る楽しさを表現する“Performanceシーン”と、冒険へ踏み出す高揚感を表現する“Adventureシーン”の2つのカテゴリーでブースを構成した。

“Performanceシーン”で展示した“パフォーマンスE STIコンセプト”は、同社の電気自動車に対するビジョンを分かりやすく示した、EVベースのコンセプトモデルだ。

エッジの効いたディフューザーの形状や張り出したフェンダー、左右分割式のリアウィングなど空力を意識した、ゴツゴツと力強い造形を組み合わせている。一般的なEVに見られるクリーンで未来的な印象よりも、純粋な“スポーツマシン”としてのエッセンスが滲み出る、いい意味でEVっぽくない“ワクワクする造形”を実現した。

さらに、運動性能と実用性の両立を目指し、同社の自動車づくりの出発点である“人中心のパッケージ”を正当に継承。正しいドライビングポジションや広い視界など、運転を楽しむために必要なすべての要素を理想的な位置に配置したという。

見ているだけで“走りへの楽しさ”を想起させる。たとえEVであっても、スバルらしさは健在だ。

遊びごころあふれる
「ポール・スミス」×「ミニ」

「ミニ(MINI )」ブースでは、「ポール・スミス(PAUL SMITH)」と協業した“ミニ ポール・スミス・エディション“を展示。バッテリーEVの“ミニ クーパーSE”のほか、順次発売を控える5ドア、コンバーチブルなどのモデルも展示した。

特別に用意したカラーリングをはじめ、ルーフやダッシュボード、シートなどにはストライプデザインを採用。サイドシルには、ポール・スミスによる“Every day is a new beginning!”のメッセージを落とし込んだほか、フロアマットには本人手書きのうさぎをモチーフにしたリベットを施すなど、「ポール・スミス」らしさを随所に散りばめた。

さらに会場では、コラボレーションアイテムも展示した。ストライプをベースに、過去のコラボモデルのプリントをあしらったユニークなデザインで、バックパックやボストンバッグ、ポーチなど幅広いラインアップだ。26年春頃に「ミニ」正規ディーラーで発売予定。

ファッションブランドとの協業による限定モデルは、「フィアット(FIAT)」×「グッチ(GUCCI)」や「マセラティ(MASERATI)」×「フェンディ(FENDI)」、「メルセデスAMG(MERCEDES AMG)」×「サカイ(SACAI)」など前例は多い。しかし今回のように、遊びごころと品のよさを程よくブレンドしたコラボレーションは、ポール・スミスらしい特別な例と言えるのではないだろうか。

過去から未来までを網羅する
“JMS2025”の楽しみ方

同イベントでは、各自動車メーカーによるブース出展のほか、往年の名車やスーパーカーに出合える“モビリティー カルチャー プログラム”や、モビリティーが進化を遂げた10年後の未来を疑似体験できる“トーキョー フューチャー ツアー 2035”など、過去から未来までを網羅する多彩なコンテンツをそろえている。なかでも最大の見どころは、“コンセプトモデル”を間近で見られる点だろう。

コンセプトモデルは、各自動車メーカーが描く未来へのビジョンを象徴する存在だ。その多くはやがて特定の市販車として登場するが、量産の段階で必ずコストカットや安全基準といった現実的な調整が加わる。時に“夢物語”に見えるかもしれないが、メーカーが本来実現したい“理想形”を目の前にする機会は他にない。それらを見ながら「市販されたら、ここの仕様はどうなるのだろう?」と想像を巡らせ、数年後に発売される実車と答え合わせをする。これから初めて訪れる人にもまずは勧めたい、JMSの楽しみ方一つだ。

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