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「ランドローバー」“ディフェンダー オクタ”試乗リポート 目的地を選ばない最強のSUV

英国の自動車ブランドの「ランドローバー(LANDROVER)」は、新潟県湯沢町の苗場スキー場で開催した音楽フェス「フジロック フェスティバル'25(FUJI ROCK FESTIVAL'25)」(以下、「フジロック」)のオフィシャルサポーターを務め、同イベント開催期間中の7月25日から27日に、ブース出展や運営の支援などを行った。これを記念して、同期間中に岩場などの本格的なオフロードも走行可能なSUV“ディフェンダー オクタ”の試乗会も開催した。会場周辺の山道を中心としたコースを走行しながら、“ディフェンダー”シリーズのフラッグシップモデルとしての快適性や機動力、同シリーズ最高レベルの悪路走破性能の一端に迫る。

シリーズ史上最強の性能

昨年7月に発表された “ディフェンダー オクタ”は、「未踏の地に挑む“ディフェンダー”の最高峰」を掲げる4輪駆動SUVで、車両本体価格は2099万円(2026年モデルは2105万円)。同シリーズ中型モデルの“ディフェンダー 110”をベースに、“最強”へと昇華するためのアレンジを随所に施した。

“ディフェンダー”は「ランドローバー」のラインアップのうち、「不可能を可能にする」というコンセプトの下、岩場や雪原などの過酷な路面における運動性能を追求したシリーズ。同モデルはその中でも「最もタフで、最も走破性能が高く、最もラグジュアリーなモデル」として位置している。その特性にダイヤモンドを重ね、原石の八面体形状(=オクタへドロン)を、モデル名やシグネチャーロゴに落とし込んだ。

初生産年限定の特別仕様車“ディフェンダー オクタ エディションワン”(2224万円)の90台を含め、日本市場で割り当てられた計220台が即完売したことからも、人気モデルであることが伺える。近年増えつつある冠水などの自然災害に備えて購入する顧客もいるそうだ。

勇ましくも頼もしい、低重心ワイドボディー

過度な装飾を抑えたエクステリアは、直線的なラインを基調としつつ、エッジを丁寧に丸めた塊感のあるデザイン。旧“ディフェンダー”のアイコンであった丸目のヘッドライトにカットラインを施した、睨みを利かせたような勇ましいフロントフェイスは、本格オフローダーとしての自信とタフネスを表しているようだ。

同モデルを象徴するディテールの1つは、専用デザインのシグネチャーロゴだ。ダイヤモンドの八面体形状を投影したデザインで、車体後方両側面をはじめ、エンジンやキーにも落とし込んでいる。発熱量の多いV型8気筒エンジンの冷却性能と堅牢性を強化した専用グリルのほか、マットゴールドの牽引フック付きの高耐久性フロントアンダーシールドなど、エクステリアだけでも数々の専用装備が備わっている。

サイズも通常モデルから見直され、全高が28mm増加した結果、最大渡河水深は1mの大台に乗った。これは全市販車の中で最大の値だ。

中でも目を引くのは、大きく張り出したオーバーフェンダーだ。より走破力を高めるため、33インチの大径ホイールも装着できるようにホイールアーチを70mm左右に拡大。日本では駐車もひと苦労する全幅2065mmのワイドボディーは、低重心でどっしりと構えた印象で、圧倒的な安定感が見てとれる。

上質かつ機能的な内装
音楽を“体感”可能なシートを搭載

エクステリアの無骨なイメージを崩さない水平基調のインテリアは、ギラつきはなくシンプル。きらびやかな装飾は抑えられ、グリップの機能を兼ねたインパネや、各所に散りばめたネジ留めのディテール、中央のディスプレー裏やセンターコンソール下の空間を活用した収納など、機能をうまく溶け込ませている。「高級」というより「上質」で、実用的かつ洗練された雰囲気でまとまっている印象だ。

路面状況を瞬時に見極めながら進むオフロード走行では、視界の広さと情報量の精査が、ドライバーの集中力を支える。太陽光の反射によるギラつきを防止するマット仕上げのツートンをベースに、同様の効果がある起毛素材をルーフライニングに使用するなどした内装は、光沢のある素材をあえて減らしているように感じる。死角を増やす不要な凹凸は省き、エアコンの吹き出し口をダッシュボードと同一平面に埋め込む徹底ぶり。フロントガラスの立ち具合やサイドミラーの大きさも相まって、運転席からの視界はかなり広く、良質だと感じられた。

また、注目の専用装備として、ステアリング周辺のパドルシフトやシグネチャーロゴをあしらったボタンがある。シグネチャーロゴのボタンを長押しすると、オフロードに特化した“オクタモード”が起動。メーターやクリアパーツ部分が赤く発光する演出が、なんとも遊び心を感じる。

そして、極上の音楽体験を得られることも、本モデルの魅力の一つだ。運転席には、音楽ライブに参加した時のような体全体を震わせる振動を再現する“ボディ&ソウルシート”をシリーズ初採用した。試しに「フジロック」初日にヘッドライナーを務めたフレッド・アゲイン(FRED AGAIN..)のプレイリストをかけてみると、ダンスミュージック特有の強烈な重低音が物理的な振動となって、左右の肩甲骨下辺りを中心にして身体中に響きわたった。まさに音楽の中に入り込んだような没入感だ。

オフロードだけじゃない
舗装路で感じた“最強”の片鱗

試乗は、「フジロック」の会場・苗場スキー場周辺を出発し、国道17号線を南下、新三国大橋を経て群馬県境付近で折り返し、越後湯沢駅方面へ向かう全長約44kmのルートを走行する。開けた直線や幅の狭い二車線路、カーブが折り重なった峠道、トンネルなど様々な道路環境が含まれる、日常使いでの快適性があぶり出されるコースだ。

まず印象的なのは、本格オフローダーとしては稀なモノコック構造由来のしっとりとした快適性の中に、適度な操舵感を残している絶妙な乗り心地だ。ロードノイズは極めて小さく、“コンフォートモード”選択時は路面から伝わる振動も特に抑えられている。しかし、「どこを走行しているかわからないほどの優雅な乗り心地」とは違う。オン・オフロード兼用のオールテレインタイヤを履いている点も加味すべきだが、橋のジョイント部分や、割れたアスファルトなどを走行した際は、路面状況の変化がすぐに掴め、地面との接地感を適度に残したチューニングがなされていると感じた。

同モデルは“6Dダイナミクスエアサスペンション”というシリーズ初搭載の機構を備えている。“6D”という名前の通り、前後・左右に加えて、対角線上のタイヤにつながるサスペンションも同じ油圧回路で連動し、車体を常に水平に保つ力が働く仕組みだ。その本領はオフロードで発揮されるが、オンロードでの曲がり道やブレーキ時にもその一端は体感できる。急角度のカーブが多かった峠道でもロールは少なくスムーズ。高速域からのブレーキングは、車体が前傾になるノーズダイブという現象を引き起こすが、この装備によって前輪のサスペンションの沈み込みが制限され、緩やかな停車を実感できた。

さらに驚くべきは、その運動性能がオフロードのみにとどまらない点だ。V型8気筒ツインターボとマイルドハイブリッドが生み出す最大トルクは750Nmで、0-100km/h加速は4秒フラット。「ポルシェ(PORSCHE)」を代表するスポーツカーである“911カレラ”の4.1秒を上回る、オフロードを主戦場にする車としては化け物じみた数値だ。見晴らしのいい直線に出てアクセルを踏み込んでみると、2.6トンもの巨体が勢いよく前へ進み、強いGが体をシートに押さえつける。その速度と質量が生み出すエネルギーは、思わずゾッとして足を緩めてしまうほどだ。“ダイナミックモード”を選択すれば、ステアリングやアクセルは機敏なレスポンスとなり、サスペンションも硬くなってよりスポーティーな味付けに。マフラーのバルブも開き、トンネル走行時には、響き渡る“V8サウンド”を聴くことができた。“コンフォートモード”の快適な走りも魅力だが、カーブでの安定感や走りの楽しさは、明確な違いを実感できるこちらのモードに軍配があがるだろう。

途中、狭い二車線の山道などで車幅を気にする場面はあった。レーンセンターキープ機能が付いていないのが惜しいが、自動運転化が進むこの時代に、自らステアリングを握る楽しさを説いているようにも感じた。

試乗を終えて
“自由と自信をもたらすラグジュアリーSUV”

“ディフェンダー”の頂点に立つフラッグシップモデル“ディフェンダーオクタ”は、オフロードにおける性能の極みに挑みながらも、日常使いにおける快適性と、操るよろこびが高次元で両立するラグジュアリーSUVだ。向かう先はどうであれ、あらゆる局面に応えられる走破力をただ静かに備えている。その余力は目的地を選ばず、ドライバーに新たな次元の自由と自信を与えてくれるだろう。

今回の「フジロック」へのブース出展では、音楽をテーマとした“ディフェンダー”の日本市場向け限定モデル“ディフェンダー アーバン ビート エディション”や、“ディフェンダー オクタ”を展示するほか、オーナーのみが使用できる専用のラウンジも併設し、アンケート参加者には「フジロック」と“ディフェンダー”のダブルネームをプリントしたTシャツを配布。オフィシャルサポート車両として全6台が稼働し、機材・スタッフ輸送や巡回業務などのバックアップを行なった。

さらに、7月4日に開幕したUKロックバンド、オアシス(OASIS)の再結成ワールドツアー「オアシスライブ'25(Oasis Live '25)」のオフィシャルサポーターとしても、ライブの運営を移動の面から支援している。

都市から自然、フェスからツアーまで、どこでも自在に走り抜けるその姿は、活躍のフィールドを問わない“ディフェンダー”が体現する本物の自由そのもの。これからも公道のみならず、あらゆる場所で目にすることになるだろう。

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