うなぎの寝床は「久留米絣」の再興を目指し、久留米絣を用いて作る日本の農作業着「もんぺ」とアメリカのワークパンツ「ジーンズ」とを重ね、日本のジーンズ「MONPE」として販売を始めた。現在では久留米産地の生地生産量の約4分の1を購入している。また、全国の繊維産地の生地も活用してその特徴を伝え、現在はMONPEを年間2万本を売るまでに成長した。同社は「地域文化商社」をコンセプトに地域文化を研究・解釈して、活用方法を探り、それを商社機能を使って地域に還元することを目指す。そのため、ものを作って売るだけではなく、ツーリズムや宿泊事業、メディアの運営、資源活用など事業は多岐にわたる。うなぎの寝床が町家を改装した店舗や宿泊施設を運営する八女福島の重要伝統的建造物群保存地区では、これまで約70軒の町家がリノベーションされて新たな店舗や工房、住宅に活用された。約20人が県外から移住してきており、町は活気を取り戻している。うなぎの寝床創業者の白水高広顧問にどのように事業化したのか、そのポイントを聞く。(この記事は「WWDJAPAN」2025年5月26日号からの抜粋です)
会社概要
設立年:2015年(創業2012年)/従業員数:うなぎの寝床は役員3人、社員22人、アルバイト20人、UNAラボラトリーズは役員3人、社員5人、アルバイト15人/売上高:グループ売上高5億5000万円(25年1月期、うなぎの寝床約4億7000万円、UNAラボラトリーズ約8000万円)/店舗数:7店舗/卸先:約100軒/事業内容:自社商品の製造・販売(もんぺ・雑貨・衣類など)、地域型・都市型店舗の運営、宿泊施設の運営、地域文化ツーリズムの運営
PROFILE: 白水高広/うなぎの寝床創業者・顧問

POINT 1:
「地域文化商社」という考え方
うなぎの寝床は地域の歴史や土地性を研究・解釈して現代社会での活用方法を探り、地域に還元することを目指す。地域文化を知らせる・買えるようにするための事業に取り組む。もの(もんぺ)の背景にある物語を掘り下げ、問屋として小売店へ商品を流通させ、ECやリアル店舗の運営を行うことで経済を回し、生活やなりわいを持続させている。加えて、ものを売るだけではなく、都市部や他地域から訪れた人が地域文化を体感できるツーリズム事業を行うことも重視する。「基本的には地域に足りない事業を興して地域の人がやれないことを実現する。また、文化や人に触れて体感・交流できるツーリズム事業は、文化と風景をつなぐ循環を生むことを目指している」。その土地に根差す理由は「地域で活動することでその文脈を引き継ぐことができ、差別化できる」から。
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