
今、改めて自国の「地域文化」について考えてみたい。地域文化を掘り下げることは、それぞれの土地に根差した独創的なデザインにつながるからだ。しかし、後継者のことを考えると、掘り下げるなら今がギリギリ間に合うタイミングであろう。本特集では工芸や民芸ともひもづく地域文化を活用するビジネスや、土地に根差したビジネスの好例を紹介し、日本の多様な繊維産地における地域文化の活用やそこから生まれる新たな経済循環の可能性を探りたい。(この記事は「WWDJAPAN」2025年5月26日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

日本の繊維産業の特徴の一つは、地域ごとに素材や製法に特徴を持ち、産地内サプライチェーンを構成している点にある。そのルーツの多くが江戸時代にさかのぼり、それゆえ尾州、播州など当時の呼称が今も使われている。このマップは、経済産業省製造産業局生活製品課が「繊維産地におけるサプライチェーン強靱化に向けた対応検討会」資料として2024年10月に発表した資料をベースに制作した。
1. 石川・福井・富山
北陸 │ 絹織物、合繊織物 / カジグループ
70億円投じてクラフトツーリズム型の工場設立

2. 岡山・広島
三備 │ デニム / 篠原テキスタイル
企業・行政連携で目指す備中備後ジャパンデニムの一般認知

3. 島根
綿絣・織物 / 石見銀山群言堂グループ
目指すは「地域一体型経営」、観光事業に本腰

4. 福岡
久留米 │ 綿絣・織物 / うなぎの寝床
「もんぺ」起点に生む商流と文化交流
5. 沖縄
キュアラボ
地域の未利用資源から新たな産業を創出

6. 山形
寒河江・米沢 │ ニット、絹織物、合繊織物 / 佐藤繊維
事業継承でつなぐ産地内サプライチェーン

7. 岐阜
石徹白
小規模水力発電と伝統民衣、地域文化から限界集落を再生

8. 和歌山
和歌山 │ ニット / エイガールズ
丸編みの産地 ブランディングでBtoC訴求

9. 群馬
桐生 │ 絹、合繊織物 / 笠森
海外美大卒の移住者が支える「桐生発ファクトリーブランド」

10. 愛知・岐阜
尾州・三河 │ 毛織物、綿織物、合繊織物、有松鳴海絞り / 三星毛糸、スズサン
「ひつじサミット尾州」から派生したDX推進コミュニティー

伝統工芸の高付加価値化と担い手育成に成功 富裕層向けの観光事業に着手

11. 山梨
富士吉田 │ 絹織物、合繊織物 / 富士吉田市
行政と民間クリエイターで築いた産業×観光イベント

12. 栃木
足利 │ 絹織物、レース
13. 東京
墨田 │ ニット
14. 新潟
五泉、栃尾、見附 │ ニット、綿・合繊織物
15. 福井
鯖江 │ 眼鏡
16. 静岡
遠州 │ 綿・合繊織物、別珍・コール天
17. 滋賀
湖東 │ 麻織物
18. 大阪
泉州 │ 綿織物、ニット、タオル
19. 兵庫
播州 │ 綿織物
20. 愛媛
今治 │ タオル