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「ららテラス川口」売上高170億円計画 そごう川口店跡地に5月31日開業

三井不動産は29日、埼玉県の「三井ショッピングパーク ららテラス川口」を31日の開業に先駆けて関係者に公開した。JR川口駅前で2021年に閉店したそごう川口店の建物を改装し、近隣住民が日常使いできるショッピングセンターに刷新した。地下1階から地上8階、屋上を含めた店舗面積2万1500平方メートルに94店舗が入る。

そごう・西武が食品のサテライトショップ

ファッション関連では「ユニクロ」「ジーユー」「オンワードクローゼット・セレクト」「アーバンリサーチストア」「ウィゴー」「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング」「シューラルー」「グローバルワーク」などが入る。そのほか「スリーコインズ」「ダイソー」「ノジマ」「ムラサキスポーツ」、地下1階には、「川口フードマーケット」と名づけた15店舗で構成する食物販ゾーンやフードコート、スーパーマーケットが営業する。

そごう・西武はデパ地下ギフトを中心に集めたサテライト型店舗「西武・そごうショップ」を出した。かつてのそごう顧客をはじめとした地元住民に、おもたせや中元・歳暮をそごうの包装紙で提供する。

屋上にはビアガーデン「ワイルドビーチ川口」を設けた。米西海岸をイメージし、白い砂を敷き詰め、椰子の木が立つ空間ではビールやバーベキューが楽しめる。これもそごう時代に営業していたビアガーデンから着想を得たもので、地元住民の期待に応える。

川口市は高層マンションの開発が進み、人口がゆるやかに伸び続けている。JR川口駅から上野まで18分、新宿まで20分と近いため、ベッドタウンとして人気がある。JR川口駅の乗降客数は1日平均14.3万人で埼玉県内では5位。利便性の良い立地で年間来場者数約600万人、売上高約170億円を計画する。近隣型ショッピングセンター「ららテラス」「ららガーデン」の中では最大規模を見込む。

からくり人形が17年ぶりに復活

旧そごう川口店は1990年に開業。ピーク時の96年には売上高359億円だったが、その後、低迷が続き21年2月に閉店した。コロナ禍になる前の19年度は売上高153億円に縮んでいた。閉店後も跡地の後継がなかなか決まらず、23年9月に三井不動産に売却された。三井不動産は2000年に閉店した錦糸町そごう(東京都墨田区)の建物を引き継ぎ、ショッピングセンター「アルカキット錦糸町」として再建した実績がある。

今回のららテラス川口は、できるだけ百貨店時代の建物や内装のデザインを生かすようにした。たとえば壁や床、柱に用いられた大理石は、エレベーターホールをはじめ至る場所で修繕しながらそのまま使っている。壁の大理石をベンチに再利用したりもした。エレベーターホールの階数表示には、川口の地場産業である鋳物を採用した。そごうの店舗ではシンボルだったエントランスのからくり時計も17年ぶりに復活させた。新たに川口市のキャラクター「きゅぽらん」、招き猫、獅子舞など11体の人形が決まった時刻になると登場して客の目を楽しませる。

駅前の一等地でありながら4年以上も閉じた状態だった旧そごう川口店の建物が再びにぎわいを取り戻すことができるのか。百貨店跡地の再活用の事例としても小売関係者や不動産関係者の注目を集めている。

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