PROFILE: 山岸正紀/三菱地所・サイモン社長

三菱地所・サイモンは、売上高で日本最大のショピングセンターである御殿場プレミアム・アウトレット(PO)を擁するだけでなく、運営する10施設の売上高合計が4345億円(25年3月期)にも上るアウトレットモール最大手である。アメリカから移植したビジネスモデルは日本上陸から四半世紀で、どのような進化を遂げているのか。山岸正紀社長に聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年5月19日号からの抜粋です)
ワクワクする場を作り、
国内外の「超広域商圏」から人を集める
WWD:御殿場POの25年3月期の売上高が前期比13.7%増の1409億円と過去最高を更新した。
山岸正紀社長(以下、山岸):前年の24年3月期が27.0%増で分母は大きくなっていたため、それを超えるのは大変だったが、想定以上に売れた。もともとの強みが、インバウンドの増加もあって最大化した格好だ。御殿場POの強みは大きく2つ。第一に圧倒的にブランドの顔ぶれが充実している。第二に富士山を中心とした観光面での優位性がある。コロナ禍で訪日客が全く来なくなって苦労していた時期にも、専任担当者を置き続けて、東アジアや東南アジアの国々でのマーケティング活動を粘り強く重ねてきた。それが実を結んだ。
観光動線を最大限に生かす
WWD:どんな種まきをしてきたのか。
山岸:経済発展が目覚ましいタイやインドネシアでは「旅行博」というイベントが盛んで驚くほどの人が集まる(タイの旅行博は4日間で約30万人集客)。そういったイベントに出展し、日本のPOの魅力をアピールする。現地の旅行代理店とも連携し、送客の道筋を作る。そのかいあって東京を訪れたら富士山や箱根周辺をめぐって御殿場POで買い物をする旅行プランが浸透した。最近は団体ツアーだけではなく、個人で来る人がかなり増えた。19年12月に敷地内に開業した小田急グループ運営の「ホテル クラッド(HOTEL CLAD)」、日帰り温泉施設の「木の花の湯」を利用する方も多い。
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