ファッション
特集 2025-26年秋冬トレンド総決算 第2回 / 全17回

デムナやステラも 4人のデザイナーが「不安な時代」に送るメッセージ

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デムナやステラも 4人のデザイナーが「不安な時代」に送るメッセージ

ショーの後のバックステージに駆け込むと、2025-26年秋冬シーズンは多くのデザイナーが「不安で、不穏な時代」と語り始めた。果たして彼らは今をどのような時代と捉え、ゆえにどんな想いを込め、どんな洋服を作ったのか?彼らが見つめる現代と少し先の未来、そしてサステナビリティやZ世代との向き合い方など、4人のデザイナーに話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月21日号からの抜粋です)

デムナ(BALENCIAGA)
アーティスティック・ディレクター

デムナ
PROFILE:(Demna)ジョージア生まれ。2008年、アントワープ王立芸術学院を主席で卒業。09〜12年まで「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」のウィメンズデザイン、12〜14年「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のシニア・デザイナーを務め、14年に「ヴェトモン(VETEMENTS)」をスタート。15年、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のアーティスティック・ディレクターに就任。7月のクチュールを最後に「グッチ(GUCCI)」に移籍する

受章時はTシャツでも
バックステージではスーツ
“デムナ 2.0”になったんだ

前回のバックステージで語った、「次は、スタンダードに挑戦したい」を有言実行した。なぜなら、それが一番難しいから。「デムナのスタンダードってなんだろう?」と考え、ついにスーツにたどり着いた。作るのは難しいが、スーツこそ今のアーバンルック。男性でも女性でも、オンでもオフでも楽しめる。そして「スタンダードでも、他とは違うスーツってなんだろう?」を模索したんだ。中にはニットも着られるよう袖のパターンを変えたし、ダブルのパンツはハイウエストでもローウエストでも履ける。パターンメイキングという工夫こそ、アートな洋服よりもずっと今のファッションに必要だと考えた。結果、これまでで一番“着られる”コレクションに仕上がったと思う。

今シーズンのランウエイは、“迷路(maze)”。(入口と出口が一本道でつながっている)“迷宮(labyrinth)”ではなく、迷路だ。人生にはさまざまな選択肢があり、千差万別のゴールがあることを表現したかった。それぞれが決断を下し、導いた未来に対応しなくてはならない今の社会、そしてファッション業界と似ている。細いランウエイは、招いたゲストとの親密性も表現している(こちらの記事参照)。みんなには生地感や細かなディテールまで観察して欲しかった。細部への意識は、今のファッションに欠けており、一刻も早く取り戻すべきもの。そんな緊急性を表現するため、モデルは細くて長いランウエイを瞬く間に歩き去るんだ。

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