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特集 ミラノ・コレクション2025-26年秋冬

バッグ&シューズブランドの最新コレクションを総括 柔らかく、落ち着いた質感際立つ

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バッグ&シューズブランドの最新コレクションを総括 柔らかく、落ち着いた質感際立つ

ミラノのバッグ&シューズブランドによる最新コレクションは、ウエアのトレンドともリンクし、柔らかく起毛感のあるリッチなテクスチャーが主流となった。カラーはチョコレートブラウンやパープルなど、深みのある落ち着いた色合いが際立つ。新たな動きを見せるのは、「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」。ポール・アンドリュー(Paul Andrew)=クリエイティブ・ディレクターによるディレクションのもと、3つのコアバリューでネクストステージへと進む。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月17日号からの抜粋です)

「セルジオ ロッシ」のポール・アンドリューは、
「クラフト」「アート」「テクノロジー」に傾倒

ポール・アンドリュー/「セルジオ ロッシ」クリエイティブ・ディレクター

ポール・アンドリュー/「セルジオ ロッシ」クリエイティブ・ディレクター

PROFILE:「ダナ キャラン ニューヨーク(DONNA KARAN NEW YORK)」や「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」などでキャリアを積み、2013年には自身の名前を冠にしたウィメンズのシューズブランドを始動。16年には、「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」(現フェラガモ)」のウィメンズシューズのデザイン・ディレクターに就任し、のちに全カテゴリーのクリエイティブ・ディレクターを務める。24年7月に現職に就任

「セルジオ ロッシ」はクリエイティブ・ディレックターに就任したポール・アンドリューによるデビューコレクションを発表した。アンドリューは、「これまでさまざまなブランドで働いたが、今はまるで家に帰ってきたような感覚だ」と心境を語る。自身の強みを存分に発揮できる最適な場にいるのだという自信が表情ににじむ。

チームに加わった昨年、アンドリューはまずイタリア北東部のサン・マウロ・パスコリにある自社工場を訪れた。トム・フォード(Tom Ford)がデザインしたこの施設は、輝くシルバーとミラーに囲まれ、田舎の風景に突如現れる異質なほどのモダンな雰囲気に驚いたという。「そこに置かれている創業者セルジオ(Sergio Rossi)のアーカイブシューズも同様に非常にモダンだった。彼はシューズの限界を壊し、前衛的な挑戦を続けた人なのだと知った」。自身に課せられたミッションは、創業者の未来志向と現代性を受け継ぎ、次代に向けて前進させることだと続ける。

コレクションはセルジオ本人と働いてきたアトリエのチームとともに、フェミニニティーを担保しつつ、革新性を追求するアンドリューのビジョンを具現化した。今回登場したブランドの頭文字“S”を思わせる近未来的フォームのミュール“シニュアス”は、イタリアの最先端技術を誇る自動車パーツメーカーと協業し、車の製造などに用いられるカーボンファイバーを素材に用いた。軽量かつ足の動きにもフィットする履き心地を備える力作だ。「アトリエには製品化に至らなかったサンプルも置かれていた。そこで見つけたのがカーボンファイバー製シューズだった。1990年代にまさか誰も思いつかなかった発想だろう。“シニュアス”は当時のアイデアとは異なるが、私が取り入れたかったのは彼の哲学であり、メンタリティーだ」。

“シニュアス”が象徴するように、「クラフト」「アート」「テクノロジー」の3要素がこれからの「セルジオ ロッシ」を表現するキーワードだ。キーカラーには、セルジオが好んで使っていた“アクアミント”を採用。今後パッケージや店舗の内装などにも取り入れる予定だ。


ヴァレクストラ(VALEXTRA)

「ヴァレクストラ」

上質なレザーで作る
品のあるソフトシェイプ

革の加工技術を進化させ、よりしなやかで柔らかな風合いを追求。“ミラノ”ハンドバッグは、しっとりとした手触りが魅力の新たなスエード素材で登場した。内部のポケットを省くことで、流麗なフォームを際立たせ、自然体のエレガンスを演出する。また、同様にソフトな質感を持つサブライムレザーでも展開し、サイズは既存のラージに、ミニとミディアムを加えた。

ジャンヴィト ロッシ(GIANVITO ROSSI)

アール・デコの輝きを添えて
シックな洗練美

クリーンで洗練されたシルエットにこだわり、素材の魅力を際立たせた。コレクションの主役となるロングブーツは、しなやかなスエードにアール・デコ調のゴールドの曲線をあしらい、エレガントな印象。シックな雰囲気を共通のテーマとしつつ、波のようなカットアウトが印象的なパンプスや1970年代風のプラットホームサンダルなども登場した。

ホーガン(HOGAN)

「ホーガン」

ミラノの街並みを映す
モダン&リラックス

ミラノの街並みに着想を得て、大理石などの建材が放つ輝きや、街全体のシックでリラックスしたムードをデザインに落とし込んだ。スリムフィットのシルバーレザーのスニーカーやバレリーナシューズ、アッパーに“H”の文字をあしらった厚底ソールのスニーカーやシックなローファーなど。ミラノで暮らす若者の多彩なライフスタイルに寄り添うアイテムをそろえた。

ジミー チュウ(JIMMY CHOO)

温もりあふれる素材と色彩、
コントラストで遊び心

ベルベットのような手触りのスエードブーツなど、豊かさを感じる素材と色使いがポイント。コニャックやバターミルク、チョコレートなど、温かみのあるカラーパレットが基調だ。バッグやローファーは、エンボス加工でスネーク柄を表現したレザーのカラーブロッキング。ローファーにクリスタルをあしらうなど、素材と色柄、形の意外な掛け合わせで遊び心を表現する。

セラピアン(SERAPIAN)

仮面舞踏会をイメージした
パーティーバッグ

仮面舞踏会をイメージし、ブラックとホワイトにフォーカス。トートバッグの“シークレットバッグ”やクラッチバッグなどはパーティーシーンにも合うミニサイズで登場。レザーにマイクロチェーンを編み込み、控えめながら華やかに仕上げた。定番の“モザイコ”は、レザーにリボンやソフトモヘアなどを絡めて、素材感を高めた。


NEWS

「コチネッレ(COCCINELLE)」

「コチネッレ」

日本に本格再上陸、
伊レザー&手頃な価格で勝負

<訂正>「WWDJAPAN」2025年3月17日号掲載号では「2025-26年秋冬シーズンに日本に本格再上陸する」と記載しておりましたが、正しくは「2025年春夏シーズンに日本に本格再上陸した」でした。

イタリア・パルマ発のレザーバッグ&アクセサリーブランド「コチネッレ」が、2025年春夏シーズンに日本に本格再上陸した。ハンター・ジャパンが国内でのディストリビューションを行う。ラグジュアリーバッグ市場の値上げが続く中で、高品質なイタリアンレザーのバッグで5万~7万円台と、手の届く価格帯を強みとする。トレンド感のあるファッションを好むキャリア層がメインターゲット。公式ECサイトを主販路に、百貨店やセレクトショップでのポップアップを計画中だ。

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“カワイイ”エボリューション! 2026年春夏ウィメンズリアルトレンド特集

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹…

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