アエッフェ(AEFFE)は10月2日、日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(Composizione Negoziata della Crisi以下、CNC)の適用を申請したことを発表した。CNCは破産の手続きではなく、金融や法律の専門家である第三者をファシリテーターとして迎え、法廷外で債権団と交渉して債務を整理し、事業の継続および再建を目指すためのものだ。なお、同社は「アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)」「モスキーノ(MOSCHINO)」「ポリーニ(POLLINI)」を擁しているが、今回の手続きは同社および「ポリーニ」にのみ適用するもので、ほかの2ブランドは対象外だという。
「ポリーニ」は1953年創業の、イタリアのシューズおよびレザーグッズブランド。アエッフェは、「当社および『ポリーニ』は現在、財務上の危機的な状況に直面している。これを乗り越えるべく行動する間、安定をもたらす最適な方法として(CNCの適用を)申請した。当社と『ポリーニ』の企業資産を保全し、事業を継続しつつ、全てのステークホルダーの利益を守ることが狙いだ」と説明した。なお、本件の報道を受け、同社の株価は3日、前日比43.3%安の0.25ユーロ(約44円)をつけた。
アエッフェ、25年上半期は赤字が拡大
同社の2024年12月期決算は、売上高が前期比9.1%増の3億5920万ユーロ(約632億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)はおよそ14倍(同1365.1%増)の8472万ユーロ(約149億円)、純損益は前年の3214万ユーロ(約56億円)の赤字から1932万ユーロ(約34億円)の黒字に転換した。なお、大幅な増益は主に「モスキーノ」のビューティ事業を9月に売却したことによる。
一方、直近の25年1~6月期(上半期)決算では、売上高が前年同期比27.5%減の1億279万ユーロ(約180億円)、EBITDAは前年同期の41万9000ユーロ(約7374万円)の黒字から1124万ユーロ(約19億円)の赤字に、純損失は2035万ユーロ(約35億円)から2846万ユーロ(約50億円)へと赤字が拡大。これを受け、マッシモ・フェレッティ(Massimo Ferretti)会長は「上半期における売り上げの減速や厳しい市場環境を踏まえ、固定費、直接経費、人件費の節減などを含む大型のコスト削減策を導入する」ことを明らかにしている。なお、同社は半期ベースではブランド別での売上高を開示していないが、24年12月期では全てのブランドが減収だった。
「バーバリー」を再建した辣腕CEOが取締役会メンバーに
また、決算発表と同日の8月1日には、アエッフェの取締役会の新たなメンバーとして、マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)=サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO以下、フェラガモ)前最高経営責任者(CEO)が加わったことを発表した。同氏はキャリアの初期に「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」やイタリアの老舗レザーブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」で経験を積んだ後、1993年から2004年までモスキーノのCEOを務めた。その後はジバンシィ(GIVENCHY)の会長兼CEOを、08年から16年まではセリーヌ(CELINE)の会長兼CEOを歴任。17年7月から21年12月まではバーバリー(BURBERRY)のCEOを務め、低迷していた同ブランドを再建したことで知られている。その後は22年1月から25年3月までフェラガモのCEOを務めた。