ランニング市場が改めて熱を帯びている。1970年代以降、国内外でランニングブームは何度かあったが、ここにきて再び市場が活性化。日本ではコロナ禍に増えた新規ランナーがコロナ明けにやや減少したというデータもあるが、定着したランナーも多い。3月2日に開催される東京マラソンは今や5割近くを海外ランナーが占め、マラソンを通したツーリズムにも注目が集まる。米欧や新興国ではランニングブームが到来し、ランニング市場は今後、年平均5〜8%以上の成長率で伸びるといった試算も多い。ランニング市場の盛り上がりを、4要素から俯瞰する。(この記事は「WWDJAPAN」2月24日号からの抜粋です)
1. “イノベーティブ”をかけた戦い
スポーツメーカー各社が近年ランニングカテゴリーを強化していることは、ランニング人気の高まりと表裏一体だ。「ランニングは他競技に比べ裾野が広く、成長余地が大きい」(小川智也アルペン スポーツ商品部部長)ことが背景にある。2017年に「ナイキ(NIKE)」が厚底カーボンプレート入りシューズを投入し、接地感覚重視の薄底が主流だったランニングシューズにパラダイムシフトを起こした。以来、競合各社も背中を追って開発に専心。「ナイキ」一強から、各社が技術を競い合う時代に突入している。
裾野の広いランニングで新技術を打ち出し、“イノベーティブなスポーツブランド”という認知を得られれば、それを土台にファッションとしてもスニーカーが売れるのは新興勢力の「オン(ON)」や「ホカ(HOKA)」が証明している。技術開発や原料高でシューズ価格は上昇し、それが市場規模拡大の一因だが、「フルマラソンで3時間切りを目指すようなランナーは、3万円近いシューズも抵抗なく購入するし、用途によって複数足を履き分けるランナーも増えている」と小川部長。
2. 駅伝から世界のEKIDENへ
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