
「ミズノ(MIZUNO)」は12月19日、次世代レーシングシューズとして“ハイパーワープ(HYPERWARP)”シリーズ3モデルを発売する。新しい開発チームのもと、レーシングカテゴリーにおいて、軽さと反発性、安定性をさらに追求した新シリーズとなる。国内販売目標は発売1年で1万足。
新型モデルは、3点それぞれを特徴とした最軽量137gの“ハイパーワープ ピュア”(3万5200円)、超反発で3点のバランスにすぐれた“ハイパーワープ エリート”(2万9700円)、高いクッション性と安定性を重視した“ハイパーワープ プロ”(同)がそろう。
“ピュア”の最大の特徴は、27.0cmで片足約137gという軽さだ。ミズノ初のインソールレスにするなど、前モデル比でおよそ35%の軽量化を実現し、ランナーが求める“ストレスのないスピード”を徹底的に追求した。ミッドソールには、高反発の“ミズノ エナジーXP”を採用。アッパーには軽量のウーブン素材を組み合わせることで、軽さだけでなく、着地から蹴り出しまでの一連の動きをよりスムーズに導く。
また、独自のフルレングスカーボンプレート“スムース スピード プレート”を3D形状で搭載。前足部での反発力を最大化しながら、ミッドソール上下に挟み込む構造によって安定性も確保した。近年の厚底化が進むレースシーンに対し、軽量とコントロール性能の両立という新たなアプローチを提示する。今後、同シリーズの新商品を次々打ち出す計画だ。
“負け”を認め、ランニング再復活へ

スポーツメーカー各社が箱根駅伝に向けたランニングシューズの新作発表でしのぎを削る中、「ミズノ」の25年の着用選手はたった1人で、着用率は6位にとどまった。1位の「アディダス(ADIDAS)」は26年の箱根走者シェア50%を掲げ、富士山の青から着想した“アディゼロ エヴォ エスエル ウーブン(ADIZERO EVO SL WOVEN)”(1万9800円)を先日発表したばかりだ。
実はミズノは16年の箱根駅伝では着用率35.7%でトップシェアに君臨していた。競合激化によって10年間でずるずる後退した。強い危機感を持ち、1年で組織を改革した。企画開発、マーケティング、広報など関連チームを統合し、ブランドとしてランニングを最優先に据えた。その原点として「誰のために作るのか」「どんな価値を届けるのか」をゼロベースで見直したという。フットウエアの陳賢太・企画担当は、「まずは負けを認めないと次に進めない。主要コンセプトである軽量・反発・安定は決して新しいものではないが、あらためて『ミズノ』としてどう解釈し、どう表現するかが商品戦略につながると考えた。“ハイパーワープ”というネーミングも、200案ほどから行き着いたもの。まるでワープするような速さで、未来のレースシーンを変えていきたい」と話した。