ファッション&ビューティ業界において、店頭スタッフこそがホスピタリティーを最も体現する存在であることに、異論を挟む人はいないはずだ。商品カテゴリー、ブランド、店舗によって客層もニーズもさまざまだからこそ、ホスピタリティーに“正解”はない。それぞれが考え、店頭で実践するホスピタリティーについて18人に聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年1月13日号からの抜粋です)
土屋はな
「スタイリング/」ルミネ新宿1店 店長

お客さまの微弱なシグナルに
“気付く”こと
「スタイリング/(STYLING/)」は感度の高い30〜40代の女性を中心にご支持いただけているブランドです。スタイリストの白幡啓が大人の女性のための服を考え抜いて作っているから、お客さまにもご自身に本当に似合う服を選んでいただきたい。それを着て街に出たときに、心の底から楽しめる一着であってほしい。だから私たち販売員の提案が一方通行の「押し付け」にならないためにも、お客さまのことを深く理解し、信頼関係を作ることが大事だと思っています。
私にとって、ホスピタリティーとは“気付き”。短い接客時間の中でも、お客さまを理解するためのヒントはたくさん隠れています。例えば、ラックにかかっている服を何度も手にとるけれど、ためらっている様子。きっと「試着してみますか?」の一言を待ってらっしゃいます。それからフィッティングルームで鏡に映った姿をご覧になったときの、表情や仕草、目線の微妙な変化。体形の変化から腰回りが気になるお客さまもいらっしゃいますが、恥ずかしさからか声にされないことも多いです。ただその部分を無意識に触ったり、視線を向けたりしますから、さりげなく隠せるようなボトムスや気にならないデザインのワンピースを薦めます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。