ラグジュアリーなレストランやホテルでなくとも、アクセシブルな価格で顧客が喜ぶサービスを提供しようと奔走するブランドやショップは多い。ホスピタリティーの肝は、滅私奉公のように顧客の望みをかなえることではなく、心地のよい空間づくりと接客でファンの心をつかみながら、サービスを継続するための“仕組み化”や“マネタイズ”も同時に行うことにある。ここでは、成功事例を4つ取り上げる。(この記事は「WWDJAPAN」2025年1月13日号からの抜粋です)
リトマス
芝有果音
ウートゥ エリアマネージャー兼プランニング

「顧客を楽しませる」が全て
超人気セレクトのホスピタ哲学
大阪の「リトマス(LITMUS)」は、カルト的な人気を誇るセレクトショップ。「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」や「ガニー(GANNI)」「サロモン(SALOMON)」など国内外を問わず感度の高いブランドやビンテージ、オリジナルアイテムをそろえる。姉妹店の「ルテンス(LUTENS)」(大阪)や「リトマス メゾン ナゴヤ(LITMUS MAISON NAGOYA)」(愛知)を構えるほか、東京を中心にポップアップも開催しており、知名度は全国区だ。そんな「リトマス」のホスピタリティーは、「顧客にどうしたら楽しんでもらえるか?」を軸に考えられた、ユニークな仕組みや施策に凝縮されている。
同店には、“顧客だけに教えるインスタグラムアカウント”がある。店舗で買い物をした際、カルテのようなものにアカウントIDを書いてくれた人をフォロー。ストーリーズでおすすめのアイテムを紹介しながら、DM上で通販のやりとりを行っている。芝有果音エリアマネージャー兼プランニングは、「ECサイトのような効率性はないが、DMによる通販はお客さま一人一人と向き合える。リアルと同じだけの熱量を持って接したい」と思いを語る。一方、オフィシャルアカウントには、撮り下ろしたアイテムやルックを中心に投稿。「ショップや商品そのものの世界観を楽しんでもらう場所」と考え、基本的に値段の表記はしない。
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