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特集 付加価値をもたらすホスピタリティー 第8回 / 全9回

異業種が目指すホスピタリティー 独自の“おもてなし”を追求するホテルから「ブルーボトルコーヒー」まで

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異業種が目指すホスピタリティー 独自の“おもてなし”を追求するホテルから「ブルーボトルコーヒー」まで

ホスピタリティーという言葉からまず思い浮かべるのは、ホテルや旅館、飲食店などだろう。各社提供するサービスはさまざまだが、誰もが「また行きたい」と思うホテルやレストランがあるはずだ。ここでは、世界中のホテルやレストランが加盟して土地土地のおもてなしを推進する非営利団体「ルレ・エ・シャトー(RELAIS & CHATEAUX)」や独自のスタイルでクールな宿泊体験を提供する「メズム東京、オートグラフ コレクション(MESM TOKYO, AUTOGRAPH COLLECTION)」、「オモテナシ」の精神を一杯のコーヒーで表現する「ブルーボトルコーヒー(BLUE BOTTLE COFFEE)」の「行きたい」と思わせる理由を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年1月13日号からの抜粋です)

ルレ・エ・シャトー

齊藤忠政
ルレ・エ・シャトー日本・韓国支部支部長

土地の“本物”を届ける哲学で広がる
唯一無二のおもてなし

「ルレ・エ・シャトー(以下、ルレ)」は、世界65カ国580のホテルとレストランが加盟する非営利団体だ。加盟するには厳しい基準をクリアしなければならず、加盟後も2年ごとに覆面調査員の審査があり、ミシュランガイドと比較される存在だ。「ルレ」は1954年、パリとニースを結ぶ国道7号線の8つのオーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)により誕生。その土地特有のホスピタリティーを提供する個人経営の“知る人ぞ知る”ホテルやレストランが集まる組織だ。世界の国賓が選ぶ宿やレストランが名を連ね、そのホスピタリティーの高さには定評がある。2014年に「食とおもてなしを通してより良い社会をつくる」をユネスコで提唱し、24年にパートナーシップを締結。自然や環境保護の観点から、二酸化炭素排出量の計測などさまざまな取り組みを行っている。

“センス・オブ・プレイス”が
“おもてなし”の中心に

現在、日本の加盟店は19。有名旅館の「強羅花壇」やミシュラン3つ星フレンチ「レフェルヴェソンス(L'Effervescence)」などが加盟している。齊藤忠政ルレ・エ・シャトー日本・韓国支部長は、「『ルレ』では、環境保全や地域社会との関わりを大切にし、その土地ならではの感覚を、生産者と一緒になって食やサービスを通して表現。それぞれが唯一無二のおもてなしを提供している」と語る。「ルレ」は、場所も個性も異なるが、同じ志を持つオーナーが集まる組合的な存在だ。「われわれの哲学の根底にあるのは、その土地への責任と共生。土地の恵とストーリーをおもてなしに出すことが一番大切だ。“センス・オブ・プレイス”とは何か考えて、訪れる人に敬意を持って“本物”を届けている」。齊藤支部長が話す“本物”とは、“そこにしかないもの”だ。風景や建築といった空間はもちろんだが、米やワイン、山菜など、人と人とのつながりがなければ調達できないものもある。「生産者との深い関係性があるからこそ、市場に出回らないようなワインや食材を分けてもらえる。オーナー、シェフ、生産者が密につながり、その土地の良さをブランディングして付加価値をつけていかなくてはならない」。齊藤支部長は、そのためには、顧客の賛同が必須だという。提供する側と受ける側、双方の思いが一致しなければ、成立しないのがホスピタリティーだ。

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