ビジネス
特集 信頼を勝ち取る27メディアのナンバーワン! 第7回 / 全7回

超個人的メディアZINEの今 作り手、売り手らに紙媒体の意義を問う

有料会員限定記事

超個人的メディアZINEの今 作り手、売り手らに紙媒体の意義を問う

自身の心が救われた体験を元にZINEを作った大智由実子は、自主出版本を扱うイベントを温もりのある「触れ合い」場と表現する。その価値は、人との関わりが制限されたコロナ禍に一層高まった。10年以上前からZINEを取り扱う「フロットサムブックス(flotsam books)」の小林孝行店主、「日本のZINEについて知ってることすべて」を出版したばるぼらへのインタビューから現在のZINEのあり方をひもとく。(この記事は「WWDJAPAN」2024年11月25日号からの抜粋です)


ZINE(ジン)とは

自主的な表現活動による出版物。一般的な書籍の商業流通にのっていないもの。写真集や文学、評論、詩歌、アートブックまで幅広く内包する。


大智由実子(MARGINAL PRESS)

大智由実子
PROFILE:(おおち・ゆみこ)2012年に洋書のディストリビューターとして活動を開始。世界中からよりすぐった個性的なアートブックやインディペンデントマガジンを日本に紹介する。17年から4年間の活動休止を経て、21年に出版をメインにして活動を再開し、現在に至る

超個人的メディアだからできる
震える感情の発露

洋書のディストリビューターとして活躍してきた大智由実子は、生きることの息苦しさを赤裸々に打ち明け、その痛みとの向き合い方を提案するためにZINE「EMO」を出版した。心の内的世界を見るテクノロジー「メンタルモデル」を開発した由佐美加子による講演内容を軸にしたZINEを通じて、大智は不確かな世界との付き合い方を示す。

WWD:「EMO」を出版した背景は?

大智由実子(以下、大智):コロナ禍になって自分の内的世界に興味を持ち始めたときに、由佐さんの本に出合った。そこで提唱されている「メンタルモデル」を探求したところ、心の痛みが愛情へと変わっていく体験をして、素晴らしいと感じた。友人にも由佐さんの講演のYouTubeをシェアしたかったが、数時間の動画を見ることが難しい人も多いので、より気軽に共有できるように文字起こしをしてZINEに仕立てた。心の問題を扱う本はほかにもあるが、心理学をベースにしたものは分厚く難解でしっくりこない。「EMO」では持ち運んだり、電車で読んだりと、いつでもどこでも気軽に見られるような利便性とデザイン性を意識した。

この続きを読むには…
残り2062⽂字, 画像7枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

ビジネスの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

アパレル業界“裏方”の進化に迫る 「OEM・ODM特集」

アパレルは、彼らをなくして語れないー。そう言い切れるほど、企画・生産において重要な働きをするのがOEM(相手先ブランドの生産)とODM(相手先ブランドの企画・生産)の事業者たちです。繊維商社が巨大プレーヤーとして君臨しながら、中小の専門企業も独自の存在価値を発揮し、生き残っています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。