ファッション
連載 エディターズレター:IN FASHION 第34回

「ヨウジヤマモト」に見る、上手な“枯れ方”

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2024-25年秋冬メンズ・コレクションが進行中です。「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の会場周辺スナップは相変わらず被写体たちが黒一色なのに、それぞれ個性的でかっこいい。記者が“クワイエット・ダークネス”と名付けた(上手いこと言った!)老いも若きも、どんなジェンダーも、撮られる人は自分の個性をわかっているようです。

中でも目を引いたのがショーにもモデルとして登場したドイツ人映画関係者、ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督です。1945年生まれの78歳であるヴェンダーズ監督は白髪に黒縁メガネ姿で写真に収まっています。同監督に限りませんが、「ヨウジヤマモト」のスナップは年配者がかっこいい。もちろんヤングが気負いを入れて着る「ヨウジ」もいいけれど、顔や手に皺を刻み、白髪になった人たちにもよく似合う。何故でしょう?

一つには「ヨウジ」のテーラードは猫背でも似合うから、ではないでしょうか。同じテーラードでも多くのヨーロッパブランドの服はその魅力を引き出すためには、着る人にも姿勢の良さを求めます。対して「ヨウジ」のテーラードは、ポケットに手を突っ込み、背中を少し丸めて着ても不思議と似合う。日本人は骨格的に骨盤が後ろに倒れやすく、肩が前に出るため猫背になりやすいそうですが(前屈み作業が多い農耕民族だから説あり)、日本人に限らず、歳を重ねると背筋がバリッとは伸びなくなるもの。和服を羽織るように、ふわりと肩に乗せる「ヨウジ」のジャケットはそんな丸みを帯びた年配者の身体にも似合います。もちろんその服作りの背景には人間の骨格を研究した上での精密なパターン設計とカッティングがあります。

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