ファッション
特集 メンズ・コレクション2024-25年秋冬

「ゼニア」は素材で男性服を解放 進化を続けるカシミヤ使いの到達点【2024-25年秋冬メンズコレまとめ】

ゼニア(ZEGNA)」は、2024-25年秋冬コレクションをミラノで現地時間1月15日に発表した。コレクションを“カシミヤのオアシスの中(IN THE OASI OF CASHMERE)”と題し、暗がりのショー会場の中央には、オアジ・ゼニア本社の調合室に似せた、カシミヤの薄片を盛った巨大な山を設置。ゲストはその山を囲むように着席し、俳優のマッツ・ミケルセン(Mads Mikkelsen)やマイケル・ファスベンダー(Michael Fassbender)、日本から来場した佐野勇斗もショー開始を待った。

レイヤードで際立つ素材の美しさ

今シーズンは、22-23年秋冬シーズンにスタートした、カシミヤ繊維から始まる服づくりのイノベーション“オアジカシミヤコレクション(Oasi Cashmere Collection)”をベースだ。実験を重ねて開発したカシミヤを用いながら、幅広いアイテムで構成した。ショーが始まると、イギリス人アーティスト兼プロデューサー、ジェイムス・ブレイク(James Blake)の楽曲“Friends That Break Your Heart”が響き渡った。天井から雪が舞うようにカシミヤの薄片が舞い散り、どこか切なく、そして甘いムードに包まれる。

アイテムは、三層のカシミヤを縫い合わせたローデンコートや、二層のカシミヤの間に音波溶着した、羽毛布団シートを挿入したキルティングコート、さらにインナーとシャツ、シャツジャケットを重ねたスタイリングなど、レイヤードがキーワードだ。重ね着でボリュームが増しても、最高品質の柔らかいカシミヤが体を包み込むようなシルエットを引き出し、軽やかさを失わない。ダブルカラーのブレザー、ノーカラーのアノラック、ブルゾンに加え、ハリスツイードやレザーのボクシーなジャケットと、今季もアウターが豊作。そこに備わるポケットは斜めに入ったり、位置が低くかったり、特大サイズで強調したりと、実用性とデザイン性を兼備するアクセントになった。

表情豊かなニットウエア

カラーはモスグリーンやエクリュ、チャコール、ブラックのワントーンで、ギンガムチェックや細長い市松模様を描いたニットウエアがアクセントを利かせた。ボトムスは引き続き、イージーフィットトラウザーにブーツを合わせる組み合わせが主流。ベースとなるボトムスに、インナーとアウター、シャツ、ベスト、時にはアウターとアウターを重ねるレイヤリングで、自分なりのスタイリングに応じてワードローブを拡張させていく提案だ。柔らかくリズミカルなコレクションのムードを、ブレイクがショーのために制作した楽曲が後押しした。

アレッサンドロ・サルトリ(Alessandro Sartori)「ゼニア」アーティスティック ディレクターは、まるで錬金術師のようにカシミヤを操りながら、その拠点であるオアジ・ゼニアを、「新しい製造方法を探究し、新しい形を開発し、今に適した先進的な洋服の解決策を考案できる場所」と表現する。メンズウエアの定番アイテムに、着る人の個性と溶け合うように余白を持たせ、カシミヤならではの柔らかさを融合してメンズのドレスコードを解放する。「ゼニア」のクリエイションは、サルトリ=アーティスティック ディレクターのアイデアと、同ブランドの実験的な素材開発によってまだまだ進化していきそうだ。

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