ファッション
特集 メンズ・コレクション2024-25年秋冬

ニット帽「プラダ」とパンスト「JW アンダーソン」の謎を解き明かせ 2024-25年秋冬メンズコレ取材24時Vol.3

無料で読める

2024-25年秋冬コレクション・サーキットがメンズ・コレクションからスタートしました。イタリア・フィレンツェからミラノ、パリへと続く13日間を「WWDJAPAN」が連日ほぼ丸一日をかけて総力リポートします。担当は、「WWDJAPAN」の大塚千践・副編集長と藪野淳・欧州通信員、パリ在住のライター井上エリという大阪人トリオ。ラグジュアリーメゾンから無名の新人まで、全方位をカバーするリポートは「WWDJAPAN」だけ。3人が感じた喜怒哀楽と共に、現地のリアルな空気感をお伝えします。

(この記事は無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

10:00 「サイモン クラッカー」

ミラノ3日目の朝は、「サイモン クラッカー(SIMON CRACKER)」でスタートするのが恒例となっています。ミラノ・メンズ・ファッション・ウイークに参加してから過去3シーズン見届け、DIYのアプローチが荒っぽすぎる印象しか残っていないブランドですが、今回こそはと微かな希望を胸に、眠い目をこすりながらショー会場へ向かいました。

しかし、会場に到着した時点ですでに暗雲。座席番号が記載されたデジタルのインビテーションをメールで受け取っていたのに、紙の招待状を求められ、受付をしないといけなくなりました。外の気温は0度、待つこと20分。受付の担当者に名前を伝えると、招待客が書かれた紙のリストから名前を見つけて座席番号を受け取ります。最近ではiPadで名前を入力してすぐに検索できるのに、今だに紙かよと心の中でツッコミを入れずにはいられず、入場がスムーズでないショーは魅力も2割減なのです。

しかもショーは45分遅れでスタート。会場のスクリーンには、“Nanna”というイタリア語の意味が書かれた辞書のページが映し出されていました。“Nanna”とは、赤ちゃん言葉の睡眠、つまり“おねんね”。コレクションは淡いパープルカラーが中心で、手染めしたタイダイや、色あせさせたり、破いたり、ほこりっぽい加工にリメイクしたウエアで、夢遊的な雰囲気を漂わせます。アイマスクを頭に着け、ランウエイの途中であくびして体を伸ばす仕草をするなどで、“おねんね”の今季のテーマの演出が見られました。

コレクションは、「世界は狂い、騒音が多すぎるため、私たちは別の精神状態になる必要がある」という思いが今季の出発点。悪い意味での手作り感過多で、新しいアイデアもなく、学芸会に参加している気分になった私が”おねんね”したくなりました。創設から約15年目を迎えるブランドなうえに、デザイナーは50歳近い中堅、というかベテランに片足。子ども心を忘れないのは良いですが、プロのデザイナーという意識を持ち、ショーのオーガナイズも再考してください。2割減ですからね、2割減。

12:00 「ケーウェイ」

フランス・パリ発のレインウエア「ケーウェイ(K-WAY)」は、イメージ戦略の一環としてハイエンドと位置付ける“R&D”ラインをファッションショー形式で披露し続けています。24-25年秋冬シーズンもミラノ本社1階が会場で、イタリア人アーティストのアンナ・フランチェスキーニ(Anna Franceschini)によるインスタレーションを設置。一定時間おきにバルーンがブオーンとふくらみながら起き上がり、しなびたかと思ったらまたブオーンと再び起き上がってくるシュールな作品でした。

代表的アイテム“ル ブレ(Le Vrai)”を含むコレクションのほぼ全てのアイテムに、同ブランドのシンボルであるマルチストライプのファスナーが付きます。パッファージャケットにも、ロングフーディーにも、ワンピースにも付くレインボーは、ワントーンアイテムのアクセントとして存在感を主張。レインウエア発のブランドではありますが、あなどることなかれ。どこまで商品化されるのかは謎ではあるものの、都会的なスポーツミックスの数々は、凝ったディテールやパーツウエアを取り入れたスタイリングの妙によって、プロダクトブランドにスタイルのイメージを印象付けました。鮮やかなブルーやカーキ、レッド、ライトグレーなどの色ごとにルックを連続させるのは分かりやすいものの、似たようなアイテムやスタイルでワンパターンに見えてしまうのが課題でしょうか。ミラノでは「ストーンアイランド(STONE ISLAND)」が、パリでは同じくレインウエアの「レインズ(RAINS)」がおそらく同様の目的でショースケジュールに名を連ねています。

13:00「ヴァレクストラ」

ヴァレクストラ(VALEXTRA)」は、グザヴィエ・ルジュー(Xavier Rougeaux)最高経営責任者が着任してから、新アイテムの開発にとても積極的な印象。なので、ニュースも盛りだくさんです。

今季は、よりソフトな“ミレプンテ・レザー”を用いたアイテムが充実。ウィメンズのハンドバッグ“バビラ”のデザインから派生した2サイズのショッピングトートや、斜めにファスナーを配したバニティースタイルのポーチが新作として加わりました。それだけでなく、ライフスタイルグッズも仲間入り。ラインアップは、ラップスタイルのレザーケース入り色鉛筆セットやウオッチケース、アジェンダカバーなど。1番のサプライズは、ミラノの有名バーテンダー、マウリツィオ・ストッケット(Maurizio Stocchetto)さんと組んで制作したというシェーカー、ツール、マティーニグラス、限定レシピが描かれたレザーコースターの一式が入ったカクテルセット。お値段は、なんと189万円です!カクテル好きの皆さん、お一ついかがでしょう?

そして、新鮮だったのは“パルメラート”と呼ぶ新たなスムースレザー。これまで「ヴァレクストラ」と言えばシボ入りというイメージでしたが、こらからはより幅広い提案が見られそうです。今季は、まず名刺入れや二つ折り財布といった小物を打ち出しました。

14:00 「プラダ」

この続きを読むには…
残り5085⽂字, 画像27枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

韓国ブランドの強さに迫る 空間と体験、行き渡る美意識

日本の若者の間で韓国ブランドの存在感が増しています。K- POP ブームが追い風ですが、それだけでは説明できない勢い。本特集では、アジアや世界で存在感を示すKブランドや現地の人気ショップの取材から、近年の韓国ブランドの強さの理由に迫ります。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。