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アパレルECの勝ち組、アダストリアの「ドットエスティ」 責任者が語るコミュニティ構想

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PROFILE: 田中順一/アダストリア執行役員マーケティング本部長

田中順一/アダストリア執行役員マーケティング本部長
PROFILE: (たなか・じゅんいち)カタログ通販企業、インターネット広告代理店を経て、2011年にアダストリアに入社。ウェブ事業を中心に従事し、自社EC「ドットエスティ」の成長をけん引。21年3月から現職。EC、データ、デジタル戦略などを統括する PHOTO:KAZUO YOSHIDA

2023年の国内アパレルビジネスを振り返ると、コロナ期間を通しデジタルを含め投資を続けてきた企業が、リベンジ消費の勢いにも乗って大きく伸びた。こうした企業はここからさらに投資をかけ、強いものがより強くなっていく。「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ニコアンド(NIKO AND...)」などを運営し、24年2月期に売上高2700億円、営業利益180億円の過去最高を見込むアダストリアは、そうした企業の代表格の1つ。自社EC「ドットエスティ」は会員数1710万人を突破し、規模を生かして他社ブランドにも開放、連携してフリマサービスも始めるなど、単なる自社ECを超えた形へと着々と進化している。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月8日号からの転載です)

アダストリアの国内EC売上高は、23年2月期で626億円。アパレルメーカーの国内EC売上高はユニクロが1338億円(23年8月期)と2位以下を大きく引き離しているが、ベイクルーズ、ワールド、オンワード、TSI、パルなどが400億〜500億円台で混戦する中からは、M&Aの効果もありアダストリアが頭一つ抜けた。「中期経営計画で掲げる、26年2月期800億円(海外ECも含む)も達成が見えている」と、「ドットエスティ」事業を率いる田中順一アダストリア執行役員マーケティング本部長は話す。

同社のEC売り上げの半分以上を占める「ドットエスティ」は、アダストリアの前身であるポイントとトリニティアーツのECを統合して14年にスタートした。「当社の強みである、実店舗と販売員の力を最大限に生かして10年間やってきた」と、田中本部長は振り返る。「ドットエスティ」最大の魅力は、販売員によるスタイリング投稿コンテンツ“スタッフボード”。同社の約30ブランドから4300人以上の販売員が参加し、地方店含む店舗から人気販売員が生まれている。ブランド複合のOMO型店舗「ドットエスティストア」オープン時などには、そうした人気販売員が店舗を訪れてファンと交流。同時に販売員向けSNS講習も行っている。

と、ここまでは他社でもよく聞く話だ。アパレル企業の多くがバニッシュ・スタンダードの「スタッフスタート」を活用して販売員の投稿コンテンツを自社ECに搭載している。注目は、アダストリアが自社開発のシステムを使用している点。当初は「ドットエスティ」も「スタッフスタート」を使っていたが、21年に内製化した。「ゆくゆくは、実店舗のある台湾や香港などでも販売員による“スタッフボード”を展開したい」といい、海外展開をスムーズに進めるため、また「われわれの使い方に合わせて迅速にシステムを改修する」ため、内製化に踏み切ったという。

“アダストリア経済圏”創出へ

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