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連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY

国潮と聞いてドキっとするなかれ

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※この記事は2023年10月02日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

2024年春夏のミラノ・コレクション取材を終えて、先週訪れたのは上海。「WWDJAPAN」の兄妹メディア「WWDCHINA」によるCEOサミットとガラディナーに登壇・出席して参りました。

正直、中国本土の上海にたどり着くのは、簡単ではありませんでした。ビザの取得も骨が折れたし、日中関係の悪化から事前には「入国できなかった」とか「くれぐれも気をつけて」なんて話ばかりを聞きました。とは言え、「WWDCHINA」チームを含め、上海、そして中国の人たちは概ね優しく、誕生して4年、いきなりコロナ禍に突入してほとんどコミュニケーションできなかった「WWDCHINA」チームと初めてちゃんと交流できた3日間でした。

サミットでは、日本と中国ビューティの橋渡しを担うクリエイティブ会社、モールドブレイキングの郭兮若代表から「国潮」の話を伺いました。最近、時々耳にしますよね。簡単に言えば、中国の要素を取り入れたトレンドのこと。Cビューティの「フローラシス(FLORASIS)」がわかりやすいでしょうか?その豪華さが語られがちですが、「フローラシス」のパッケージやカラーパレットは、中国の伝統文化と古典美学を参考にしています。まさに国潮です。そして郭代表は、「中国ブランドの武器は、国潮だ!」と、日本進出を目指すブランドを励ましました。

国潮、簡単にいえば「その国らしさ」を武器にするのは、当然です。振り返れば日本だって、かつての「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は、西洋の価値基準にとらわれない、ある意味の“日本らしさ”で世界に出たわけです。しかし日中関係が悪化している今、「その国らしさ」で勝負するのは、なかなか勇気があることのようにも思えます。そもそも中国本土でも国潮が支持されるのは、世界の分断に伴う愛国心の1つの形とも解釈できるわけで、そんなコト考え続けると思考はグルグルと流転して収束しないのです。

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