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連載 エディターズレター:MARKET VIEW

均一では語れない「百貨店の土着文化」

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※この記事は2023年09月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

コンビニエンスストアは大手3社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)で国内市場の9割を占めます。一方、スーパーマーケット(ここでは食品スーパーとします)は、各地域のローカルチェーンが強くて群雄割拠の様相です。コンビニは寡占化、スーパーは多様化、ともに食品を主力にしながら正反対の事業モデルです。コンビニが均一的な品ぞろえとサービス、高度な情報システムによって効率を追求するのに対し、スーパーは地域の食文化に応じた品ぞろえが求められ、地元の食品卸や零細な食品メーカーと複雑に結びついています。

高島屋の営業本部長である横山和久・代表取締役専務の取材で、百貨店におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の難しさを聞き、スーパーと同等かそれ以上に地域に根ざした業態であることを再認識しました。

スペースの都合で記事では触れられませんでしたが、例えば贈り物一つでも地域でかなり違う。中元・歳暮や冠婚葬祭だけでなく、それ以外にも地域の風習に基づく贈り物があるそうです。のし袋の巻き方、水引の種類も関東・関西というだけでなく、同じ店舗の商圏でも川を一本挟むと変わったりする。贈るタイミングや各種のしきたりも然り。「長い時間をかけて複雑なローカルルールに合致した仕組みを作ってきた。つまり業務が先にあって、それに整合したシステムを作ってきた」(横山氏)。中央集権型のDXには馴染まないことも多いわけです。

百貨店は売り場の同質化が揶揄されることも多いけれど、土着的な部分も馬鹿になりません。東京や大阪で成功した百貨店が、それ以外の地域に進出しても成功すると限らないのは、地域に根ざしたのれんの壁であり、土着化の壁だったりするのでしょう。

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