ファッション

「ジバンシィ」メンズはフォーマルを解放する 2024年春夏は”制服”のエレガンス

ジバンシィ(GIVENCHY)」はパリ・メンズ・ファッション・ウイークで現地時間6月22日に、2024年春夏メンズ・コレクションを発表した。会場には、ナポレオン1世が埋葬されている軍事博物館の回廊をランウエイに選んだ。今シーズンの主軸となったのは、”制服によって具現化されたエレガンスの研究”。スクールユニホームやスーツ、会場と呼応するミリタリーウエアを融合させて、現代的に解釈する試みだ。マシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)がクリエイティブ・ディレクターに就任して約3年で、厳格さと優雅さを兼ね備えた「ジバンシィ」メンズのアイデンティティーは定まりつつあり、今季のコレクションでもそれを証明した。

若者の着こなしに着想

序盤は、継続的に打ち出しているリラックスシルエットのテーラリングだ。ルレックスや起毛ウールのタキシード、シルクウールのダブルブレストのブレザーは、ソフトな曲線を描くショルダーや短めの袖でモダンフィットにアレンジ。インナーのタンクトップがシャツとネクタイ、紋章入りのニットウエアへと変化し、テーラリングに若々しい要素を注入する。ショー後のバックステージでウィリアムズは、「子供が通うロンドンの学校に行くと、スクールユニホームを自分なりに着こなすクールな若者たちを見かける。原型を無視し、機能と個性に応じて自分を表現する、彼らのリアルな装いから着想を得た」と語った。

ユニホームの表現の自由度はさらに加速し、柔らかなカーフレザーのオーバーサイズのフィールドジャケットからクロップド丈のMA-1、テクニカル素材のパーカに至るまで、実用的なスポーツウエアをイージーフィットのスラックスと合わせた。これらメンズワードローブの代表的なアイテムに、オートクチュールをルーツに持つメゾンのラグジュアリーな要素を密かに忍ばせたようだ。創業者が愛した蘭の花がモチーフのイヤリングやネックレスといった、アトリエで手彫りした芸術品でさり気なく装飾する。白のウィンドブーレーカーやブルゾンには、通常テーラードカシミアの衣類にのみ使用する、ダブルフェイスのコットンによって手作業で仕上げた。「テクニカルなアイテムをフォーマルに仕立てるアイデアだ。多くの人は、サヴォワフェールに気づかないかもしれない。それは僕にとってうれしいことだ」とウィリアムズは続け、細部へのこだわりを誇示しないことに美学を持っているようだった。

裾にクッションを作ったスラックスやジーンズに合わせるのは、ハイキングシューズのようなコーデュロイのスニーカーや、日本で手に入れたビンテージのシューズから着想したというロングトーのローファーだ。日本滞在中に訪れた数多くのビンテージショップからインスピレーションを得て、シルバーとゴールドのハードウエアをあしらった三角形の“ヴォワイユークロスボディ”とバックパックには、使い古して擦れたように加工したスエードを採用している。

確立しつつあるスタイル

オーバーサイズのレザーのトラックトップスや、ハードウエアを施したTシャツで若者のラフな空気感を演出すると、アトリエがオートクチュールの技法を用いたミリタリージャケットとノースリーブのジャンプスーツ、ミニマルで構築的なタキシードスーツが成熟した大人の男性へと印象を変えた。完璧な仕立てとなめらかな上質素材にメゾンの匠の技が光り、リラックスムードのルックとのコントラストにより一段と美しく見えた。

特筆すべきは、1年前は多用していたブランドロゴに頼らなかったことだ。表面的なデザインよりも、メゾンの遺産であるアトリエの技術を最大限に生かし、プロポーションの遊びと最高品質の仕立てで男性のドレスアップをテクニカルな角度から表現した。大衆的に認知されるにはもう少し時間を要すとしても、メゾンとウィリアムズが着実に調和し始めているのは明確だ。

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