ビューティ

「バーニーズ ニューヨーク ビューティ」を手掛ける韓国企業CEOに聞くラグジュアリースキンケア誕生秘話 「フレグランスやヘアケアも発売予定」

 バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK以下、バーニーズ)の親会社である米ブランド管理会社のオーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)は2022年9月、韓国を拠点とするライフスタイル企業グロエントグループ(GLOENT GROUP)と提携し、ビューティブランド「バーニーズ ニューヨーク ビューティ」を立ち上げた。同ブランドはクレンザー、エッセンス、セラム、クリームからなるスキンケアコレクションとスペシャルケアのフェイシャルマスクをそろえ、日本には22年12月に上陸。「バーニーズ」の店舗とオンラインストアで販売する。ビューティブランドを手掛けるグロエントグループのジャスティン・ソン(Justin Song)CEOに、立ち上げの経緯と今後の計画を聞いた。

WWD:グロエントグループの事業内容は?

ジャスティン・ソン=グロエントグループCEO(以下、ソン):当社はビューティやヘルスケア、プレミアム飲料を扱うライフスタイル関連のプラットフォーム企業と考えてもらえると分かりやすい。「バーニーズ」はライセンスの形態を取っているが自社ブランドも持っている。化粧品の製造についてはOEMメーカーに委託している。今後、海外のブランドを輸入したり、韓国のブランドを輸出したりということも考えている。

WWD:「バーニーズ ニューヨーク ビューティ」を手掛けた経緯は?

ソン:私はファッションのリテール産業に20年以上携わってきた。「バーニーズ ニューヨーク」のラグジュアリーな世界観やヘリテージに魅力を感じ、私たちはウエルネスカテゴリーでビジネスをしたいと提案した。ただし、「バーニーズ」ですぐにウエルネスの商品を展開するのは難しいと思ったので、ビューティ商品を考えた。

WWD:ファッションからビューティに参入した理由は?

ソン:私はファッションスクールを卒業しファッションマーケティングで修士号も取得しており、今もファッションが大好きだ。私たちの世代は「バーニーズ」のショップウインドーが教科書のようなものだった。今一番のトレンドは何か、次に来るトレンドは何か、そうしたことを「バーニーズ」で勉強した。しかし最近はそうしたラグジュアリーへのニーズが今後もずっと続くだろうか、ほかにニーズはないだろうかと考えるようになった。そんな考えを巡らすうちにコロナ禍となり、人々が健康に気を使うようになった。もちろん、ファッションはこの先もずっと人々を幸せにすると思うが、私たちはそこに何か一つを足して、よく食べて健康に幸せに暮らすニュー・ラグジュアリー・ライフを示したかった。ファッションの商品を売ったときに消費者が楽しんでくれる喜びはあったが、さらにもう一歩進み少し健康になってもう少し幸せになるものがあるのではないかとの思いから「バーニーズ ニューヨーク ビューティ」を考えた。

ブランドが提案するヘルシーライフの要はノルウェーの水

WWD:「バーニーズ ニューヨーク ビューティ」のコンセプトは?

ソン:「ビューティ」「ウエルネス」「ウオーター」の3つをコアバリューに掲げるライフスタイルブランドで、ただ外面だけを美しくするのではなく、体の内側から健康でいることから生まれる美を目指すものだ。悩んだ末に水にフォーカスした。著名な水の博士の言葉から体や肌のさまざまな不調が水分不足から起こることを知った。地球上で最もきれいな水である南極と北極の水に近い水がノルウェーにあると分かり、ノルウェーのさまざまな水源地と交渉を始めた。そして飲料水として商品化。さらに体の内面的なエネルギーを保つためのウエルネスプロダクトも作ることになった。その上でスキンケアをすることで美しくなるというのが私たちが提案する真のラグジュアリービューティだ。ある程度長期的なビジョンを持ってブランドを育てていけることになっている。

WWD:たくさんの化粧品がある中で、どう差別化し成長戦略を描くか。

ソン:韓国の多くのファッションやビューティブランドは、品質がいいのに価格の競争力がある点を売りにする。しかし私はブランディングの視点からそのように設計していない。それがブランドの持つ力だと思うからだ。だからと言って、商品にただラベルを付けて売っているわけではなく、商品の一つ一つにストーリーがあり、それぞれの開発過程ではたくさんのエネルギーと時間を使った。消費者はブランドと商品だけを見て買うのではなく、共感できるかが決め手になる。だから共感し一緒に育てるブランドを作りたいと思っている。もしかしたらそれがファッション的なアプローチかもしれない。

WWD:スキンケア商品の具体的な開発過程は。

ソン:企画の段階も含めるとローンチまでに2年、実務的な開発期間は1年半ほどだった。スキンケア商品には北欧で1年に2カ月しか採集できない希少なクラウドベリーを使っている。ビタミンがオレンジの約300倍と優れた成分だ。このクラウドベリーを含めて北欧でしか採れない8つの原料を独自配合し、1年以上を掛けて独自成分GLOCELAコンプレックスを開発した。パッケージもこだわり、世界的なプロダクトデザイナーに依頼しステンレスのパッケージを採用した。環境への配慮や持続可能性の観点から先端を行くことができると思っている。シンプルで未来的なデザインでジェンダーレス、エイジレスも表現している。

韓国・ソウルに旗艦店をオープン

WWD:昨年10月に、韓国・ソウルに「バーニーズ ニューヨーク ビューティ」の旗艦店をオープンしたが反響は?

ソン:韓国ではビューティ・ファッションビジネスは百貨店のインストアを先にオープンするのが一般的だ。その方が早期にビジネスを成立させるのに効率的だからだ。ただし、ブランドのストーリーを見せるのが難しい。だから私たちは百貨店のインショップ約40店舗分の高い費用を投資して旗艦店を先にオープンした。江南区の高級ショップが並ぶエリアにある3階建ての建物だ。ブランドのストーリーや、既存のビューティブランドと何が違うのか、その価値を見せたかった。オープニングイベントではスポーツ選手やインフルエンサー、ソーシャルメディアに多く来店してもらった。その後もたくさんの人が訪れており、SNSでも自発的なレビュー投稿が多く見られる。

WWD:韓国以外の国に同様のショップを作る予定はある?

ソン:当初はニューヨークに1号店を出したかった。その後日本と韓国で同時出店をと考えていたが、予想よりコロナ禍が長引きソウル店を先にオープンした。日本は「バーニーズ」のショップが既にあり、バーニーズ ジャパンとの協業を最も大切に考えているのでビューティ単独店の出店については十分に議論を重ねていきたい。アメリカに関しては百貨店サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)とのビジネスが最もプライオリティーが高い。今はブランドが何をしたいか、どういう価値があるかを伝えて、理解を得られるパートナーと取り組んでいきたいと思っている。

WWD:今後の商品展開は?

ソン:フランスでフレグランスの製作を進めており、日本では2月ごろに発売できるのではないか。香りはセラピーの要素があると思っているので、キャンドルやディフューザーなどホームフレグランスカテゴリーに関しては構想がある。またヘアケアも5月ごろに発売する予定だ。20〜30代にも増えている抜け毛の悩みに応える商品だ。ヘアケアも香りにフォーカスし、ストレスから解放される意味を込めている。ブランドとしてウエルネスをテーマにしているので、ヘアケア商品と食品を一緒にパッケージすることも考えている。カラーコスメに関しては、現状では考えていない。「バーニーズニューヨーク ビューティ」がビューティとウエルネスを全て包括するものだと消費者が十分に理解した後に着手する。

WWD:3年後、5年後の中長期的な目標は?

ソン:5年以内に売上高2000億ウォン(約211億円)を目指す。市場はアメリカ、韓国、日本、中国がベースになる。セールスのための拡大やホールセールでの展開は考えておらず、ブランドの基盤を作ることを重視し拡大していく。

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