ファッション

デジタルの“バーキン”は模倣かNFTアートか 「エルメス」がクリエイターを提訴

 「エルメス(HERMES)」は14日、“バーキン(Birkin)”をデジタル上で模した“メタバーキンズ(MetaBirkins)”を製作・販売したメイソン・ロスチャイルド(Mason Rothschild)に対して商標権侵害などを理由にニューヨーク州連邦裁判所に提訴した。

 ロスチャイルドは「エルメス」の“バーキン”に類似したバッグをデジタル上で100個製作し、NFTマーケットプレイスの「オープンシー(OpenSea)」上で販売したという。訴状の中で「エルメス」は、ロスチャイルドが「一般名称である“メタ(meta)” を足すことで『エルメス』の“バーキン”という著名な商標を略奪し、一攫千金を狙っている」と述べている。これに対してロスチャイルドは17日、自身のインスタグラムアカウントで、問題となっているバッグはアートだと主張。「私は偽物のバーキンを作っているわけでも販売しているわけでもなく、ファーで覆われた想像上のバーキンを描いたアート作品を作ったにすぎない。アメリカ合衆国憲法修正第1条がアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)に『キャンベル(CAMPBELL)』のスープ缶を描いた作品を作って売る権利を認めているように、バーキンのバッグを描いた作品を作って売る権利を私に認めていると、私の弁護士は言っている」と述べている。

 「エルメス」はロスチャイルドに対して12月16日に警告書を送付し、同時にオープンシーにも通知したという。これを受けてオープンシーは出品一覧から削除したが、「ラリブル(Rarible)」や「ゾラ(Zora)」といったNFTマーケットプレイスでは引き続き販売されている。

 正規品のバーキンは9000~50万ドル(約100万~5700万円)で取り引きされている。ロスチャイルドが出品し、12月に売れた“メタバーキンズ”の価格は10イーサリアムで、これは4万ドル(約450万円)以上に相当するという。

 ロスチャイルドによると、当初は裁判所の外で交渉することで解決を目指していたが、「『エルメス』は交渉を打ち切り私を訴えることを選択した」とインスタグラムで説明している。

 「エルメス」は訴状の中で、「ロスチャイルドは『Build-a-MetaBirkin(メタバーキンを作ってみよう)』コンテストで“メタバーキンズ”を作るよう他者を奨励した。これは“バーキン”の商標をより一層希釈し、さらなる損害を与えている」と主張。このほかにもロスチャイルドが“メタバーキンズ”という名称を使用した今後の展開を語っていることからも、先んじて手を打とうてとしている様子がうかがえる。

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