ファッション

「トム フォード」の“光らないところがない”ピカピカルックに心から拍手 地球の裏側からNYコレ鑑賞記 Vol.4

「トム フォード」

・リアルショーをライブ配信
・全42ルック

 トム様!!アナタは、やっぱりスゴいです!
 2022年春夏の「トム フォード(TOM FORD)」を見て、そう呟かずにはいられませんでした。太陽いっぱいのロサンゼルスで暮らし、でも最近はコロナ禍で外出もままならず……。そんな鬱屈した思いが、一気にバクハツしたのでしょうか?コレクションは、光らないところがない(笑)!!色のない洋服が登場しない(嬉)!!そのくらい、ビッカビカでカラフル。ここまで振り切れるのは、「トム フォード」以外にありません。

 ピカピカ光るのは、見るからに肉厚でぜいたくなダッチェスサテンのジャケットやサルエル仕立てのカーゴパンツ、スパンコールを隙間なく敷き詰めたタンクトップ、仕上げに箔プリントを施したようなヘンリーネックのリブニット、そして、ピッカピカに磨いたレザーのジャケットやショートパンツ。パンプスからミニバッグ、ボディバッグにいたるまで、全てがピカピカな上、ゴールドのアクセサリーを「これでもか!」と言わんばかりにジャラジャラ身につけています。ベースのスタイルは90年代のミニマリズムで、実際シンプルなアイテムを重ね着も最小限にまとっただけなのに、なんてゴージャスなのでしょう。

 トム様は、これだけピッカピカなのは、コロナでさらに加速したデジタル・コミュニケーションも一因だと語ります。「人々は、デイタイムにドレスアップすることが少なくなり、ソーシャルメディアのためにドレスアップすることが増えたのではないでしょうか?洋服はますます漫画的なパワーを持ち、私たちの携帯電話の小さなスクリーンにパワーを与える必要があります」と打ち明けます。その是非を問うワケではなく、ただひたすらにその時代を生きる人のために洋服を生み出す。しかも、彼らしく。ロサンゼルスに移り、育児にも励むトム様だからこその、シンプルでナチュラルな考え方が心を打つコレクションです。

「トリー バーチ」

・リアルショーをライブ配信
・全30ルック

 「トリー バーチ(TORY BURCH)」と言えば、春夏は良家の子女っぽい「大草原の小さな家」、秋冬はボヘミアンなイメージでしたが、そのイメージを少し変えてきました。今シーズンは、かなりチャレンジングなシルエットに挑戦。インスピレーション源は、1940年代に活躍したデザイナー、クレア・マッカーデル(Claire McCardell)。ココ・シャネル(Coco Chanel)やマドレーヌ・ヴィオネ(Madeleine Vionnet)と共に、女性を身も心も窮屈だったファッションから解放した偉人です。

 「大草原の小さな家」の面影は、チェックのピクニックワンピースなどから、今季もちゃんと漂っています。でもそこに加えたのは、カラーブロッキングしたリバーシブルのジャージートップスや、ドローコードで調整できるアシンメトリーのトップス、バルーン袖のブルゾンやトレンチコートなど。太めのベルトでウエストマークして、いずれもリラックスムードが漂うものの、そのシルエットは従来の「トリー バーチ」とは一線を画しています。デザイン性は、格段に高まりました。

 屋外でのコレクションは、全30ルック。コロナ前と比べると、1/3~1/4絞り込んだ印象です。でも、それで良いですよね?サンプルでも作りすぎないこと、一度にたくさんのアイデアを発表し続けて枯渇しないことは、業界のサステナブルを高める手段です。数ではなく、クオリティー。そんな意識改革が如実に現れています。

「オーバーコート」

・ヴィジュアルを世界に配信
・全30ルック

 さぁ、この「地球の裏側からNYコレクション鑑賞記」は、私が一番洋服を買っているニューヨーク・ブランド「オーバーコート(OVERCOAT)」で幕を閉じたいと思います。手掛けるのは、本当にたくさんのラグジュアリー&デザイナーズブランドのパターンを手がけてきた大丸隆平さん。そのコートやジャケットのパターンはまさに天才的で、誰が、どんな服を着ていてもジャストフィットするのです(マジで)。
という職人気質なブランドですが、最近はグラフィックデザイナーのピーター・マイルズ(Peter Miles)とコラボレーションして、先行き不透明な時代だからこそ心に染み入るカラフルなカラーパレットも魅力の1つに仲間入り。ピーターとのコラボは22年春夏も継続で、オープンカラーのシャツやパンツ、アノラックは間違いなくコラボのソレです。

 あぁ、早くどんな素材なのか、どんなパターンなのかを確かめるべく、洋服に袖を通してみたい!そんな気持ちでいっぱいです!以上、デジタル取材でもリアル試着への欲望がムクムクと湧き上がってしまったムラカミが、NYの裏側からお伝えしました。

 ウィズ・コロナ生活が始まって早1年半。この間、ファッション・ウイークは必然的にデジタル開催を強いられましたが、「SNSでバズらない」や「バイヤーやメディアが、新しいブランドを探せない」などの課題が露わになりました。そのせいか(!?)、2022年春夏シーズンは「ガマンできない!」と言わんばかりにリアルショーを再開するブランドが続々。この記事にある通り、ニューヨークでは、ほとんどのブランドが何らかの形でリアルイベントを再開します。でも、日本にいる私たちは、未だかつてのような取材が再開できません。そしてブランドのいくつかは、「どうせ日本から人は来ない」と割り切り、現地在住の日本メディアの関係者さえ門前払いだそうです(泣)。「このままでは、イカン!!」。そう思い「WWDJAPAN」は、地球の真裏にある日本から引き続き情報発信。リアルショーの再開に伴いデジタル取材は難しくなりそうですが、ブランドのオウンドメディアやSNS、YouTube、そして米「WWD」の記事を見ながら、ウィズ・コロナ&アフター・コロナのファッションウィークの片鱗を探します。

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「WWDJAPAN」9月27日号は、進化し続ける美容医療市場に迫ります。近年はSNSや口コミアプリの台頭で若年層を中心に美容医療の興味関心が高まっており、ハードルも下がりつつあります。さらに最近は“マスク荒れ”を改善したいニーズや、顔がマスクで隠れている今のうちに施術をしたい狙いもあり、コロナ禍でも注目を浴び続けています。

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