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特集 パリ・コレクション2026年春夏 第4回 / 全6回

パリに広がる大人のモダンエレガンス デザイナーの力量を示す「ジバンシィ」や「ランバン」「サカイ」「アライア」

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パリに広がる大人のモダンエレガンス デザイナーの力量を示す「ジバンシィ」や「ランバン」「サカイ」「アライア」

相次ぐデザイナー交代によって新たな時代が築かれつつある中、顕著なのは大人に向けたモダンエレガンスの復活だ。大きなロゴを配しただけのストリートウエアはほぼ姿を消し、デザイナーの力量を示す洗練された提案が広がっている。女性性を謳歌するような体を意識したアプローチからドラマチックな動きやシルエットの探求まで、力強いコレクションが出そろった。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月20日号からの抜粋です)

ジバンシィ(GIVENCHY)

DESIGNER/サラ・バートン(Sarah Burton)

現代女性の心を映し出す
パワフルなフェミニニティー

テーマは「パワフルなフェミニニティー」。半年前に提案したシルエットを土台に、テーラリングの構造を解きほぐし、素肌をのぞかせることで生まれる軽やかさと解放感を表現した。例えば、ジャケットの背面にばっさりハサミを入れてオフショルダーに作り替えたり、コットンやレザーで仕立てた白シャツの襟部分を下げることでデコルテを美しく見せたり。体に沿うラップスカートは、コートを腰に巻きつけた時のシェイプから着想したもの。正面で折り重なる生地のドレープがエレガントだ。ドレスには、レースのランジェリーやフィッシュネットタイツなど“ブドワール(婦人の私室)”に通じるセンシュアルな要素を採用。終盤にはクチュールさながらの刺しゅうを全面に施したアイテムも披露した。

DESIGNER’S COMMENT

ファーストシーズンに確立したメゾンコードを保つことは大切だと感じていたが、実際着目したのは、女性の力。女性に力をもたらすためには男性的な要素に頼りがちだけれど、私はむしろ女性性のアーキタイプ(原型)やシンボルを通して女性のエンパワーメントを探求したかった。そのため、テーラリングとドレスでフェミニンな曲線を強調するとともに、時に大胆に時に控えめに肌をあらわにし、親密さの中にある官能性を取り入れた。

ランバン(LANVIN)

DESIGNER/ピーター・コッピング(Peter Copping)

1920年代へのオマージュ継続
上品なドレスが充実

1月のデビューショーに続き、核は創業者ジャンヌ・ランバン(Jeanne Lanvin)と彼女が活躍した1920年代。ドロップウエストやアール・デコに通じる幾何学模様を取り入れた、ひざ下やミッドカーフ丈の上品なドレスを豊富にそろえた。今季は、ドレスのボディーから装飾やディテールにまでグログランリボンを多用。バイアスカットやドレープ、洗いなど布の扱い方には、ピーターの経験値の高さが見て取れる。同時に発表したメンズは、ウィメンズと世界観を共有するものの印象がやや弱く、今後の発展に期待。

サカイ(SACAI)

DESIGNER/阿部千登勢

「サカイ」らしさを追求し描く
エレガントな新シルエット

ワードローブの定番アイテムやその要素をハイブリッドして見慣れた服から新たなものを生み出すという“紛れもなく「サカイ」”な手法を突き詰め、現代的なエレガンスを表現した。シルエットの探求を続ける中で新たに取り入れたのは、「折り返す」というアプローチ。タキシードやデニムセットのアップは、内側を開いたパンツの裾を大胆に上に折り返して肩に縫い付けることでコクーンシルエットのケープに。カーゴパンツも折り返した裾を腰のサイドで留め、バルーンスカートに仕上げている。

アライア(ALAIA)

DESIGNER/ピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)

テンションとトーションで描く
女性らしい彫刻的なシルエット

過去と現在、過剰と抑制、覆うこととあらわにすること、そして男性と女性などの二項対立の間に存在すると考える「テンション(緊張感)」を追求。構築的なジャケットなどと、ジャージー素材へのプリーツやドレープを駆使して流線形を描くスカートの対比で表現した。さらにジャージーを下に引っ張り身体をなでさせることで「トーション(ねじれ)」も表現し、人間工学的なシルエットを探求し続ける。一見するとミニマルなスタイルだが、プリーツやマクラメなどの手仕事、抑揚の効いたカラーパレットやフォルムなどで、静かながらドラマチック。ショー会場でも、天井には素肌の女性を投影し、衣服をまとったモデルとの対比で「テンション」を表現。

エルメス(HERMES)

DESIGNER/ナデージュ・ヴァンヘ(Nadege Vanhee)

イメージは、南仏カマルグの湿地を馬に乗り、さっそうと駆け抜けるような自由で活発な女性。胸下で固定するホルターネックのレザーハーネスがキーアイテムで、その下にジャケットやニットのブラトップを合わせたり、首にかけて垂らしたスカーフを通したりしたスタイルが主軸になる。現地の漁師の作業着や漁網は、サロペットのようなパンツやシアートップスとしてエレガントに昇華。南仏で受け継がれるキルティングの技法も応用した。

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)

DESIGNER/ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)

ルイ14世の妻の居室で打ち出したのは、貴族的なディテールで着飾ったワンマイルウエアのよう。チュールにベロアの花々が咲き乱れた素材を丁寧につまみながら下に流して足元で優雅なドレープを描いたドレスなどは、まるで繭のよう。鋭角の襟をあしらったシャツと合わせたピークドラペルのコートはバスローブのようにベルトで開閉するスエット素材だ。2026年春夏のトレンドになりそうな「インティメイト(親密)」なスタイルを折衷主義で描く。

トム フォード(TOM FORD)

DESIGNER/ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)

「欲望を織り込んだ」というハイダーによる2シーズン目は、大人の官能性が光る。レザーに加えた無数の細かい切れ目から控えめに素肌がのぞくコートやセットアップは、体のラインをなぞるように滑らか。レザーブラを合わせたスーツや、レザーとレースをはぎ合わせたスリップドレスも艶やかな雰囲気を醸し出す。イブニングドレスは首元などに硬いパーツを入れ、ミニマルでありながら布を巧みに体に沿わせるデザインが美しい。

ザ・ロウ(THE ROW)

DESIGNER/アシュリー・オルセン(Ashley Olsen)&メアリー・ケイト・オルセン(Mary-Kate Olsen)

ショー後に公開されたルック写真はモノクロだったが、実際のコレクションも白と黒を中心にしたラインアップ。今季もレイヤードを軸にした、遊び心ある着こなしが満載だ。例えば、チェックとストライプのシャツを重ねたり、タンクトップを3枚組み合わせたり、カーディガンのボタンを一つだけ留めて背中に垂らしたり。コンパクトなビクトリアンジャケットや細身のクロップドパンツなど、よりフィット感のあるスタイルが増えているのも新鮮だ。

Other Brands

PHOTOS:ADRIEN DIRAND(DIOR FINALE)、CELINE、CFCL INC.、CHANEL、CHLOÉ、DIOR、KOJI HIRANO(ANREALAGE)、PEGAH FARAHMAND(DIOR BACKSTAGE)、ANDREA ADRIANI(CECILIE BAHNSEN)、COURTESY OF BALENCIAGA、COURTESY OF LANVIN、COURTESY OF THE ROW、ESTHER THEAKER(GANNI)、FILIPPO FIOR(HERMÈS)、FRÉDÉRIQUE DUMOULIN-BONNET(ISSEY MIYAKE)、GIO STAIANO(UJOH)、GORUNWAY(DRIES VAN NOTEN)、MOLLY SJ LOWE(LOEWE BACKSTAGE)、YANNIS VLAMOS(JEAN PAUL GAULTIER)AND DELPHINE ACHARD(CHANEL RUNWAY, CHLOÉ BACKSTAGE)、SWAN GALLET(CHANEL RUNWAY SIDE)/ WWD © FAIRCHILD PUBLISHING, LLC、REX/AFLO(BALENCIAGA ARCHIVE, DRIES VAN NOTEN BACKSTAGE)

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