ビジネス

「ゲイは、アーティスティックなの?」 エディターズレター(2021年6月23日配信分)

※この記事は2021年06月23日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「ゲイは、アーティスティックなの?」

 「ゲイは、アーティスティックなの?」。

 時々聞かれたり、そんな話を聞いたりしますが、当事者として言わせていただけるのなら、「人それぞれ」って思います(笑)。

 とは言え世間一般においては、根強いイメージかもしれませんね。実際、世界的なブランドのデザイナーにはゲイが多く、ミラノやパリ、ニューヨークのファッションウイークに赴けば、バイヤーやメディア関係者も含め、当事者はたくさん。当事者同士として仲良くなる例もあるせいか、自分の周りにはファッション&ビューティ業界の当事者が大勢います。端から見たら、そう思えるのかもしれません。

 とは言え、「ゲイは、男性の気持ちも、女性の気持ちもわかる」という人には、「いや、それは違うと思います」と答えます。わかろうと努めるしわかり合いたいと願っていますが、正直、どっちもわかんない(笑)。いや、「男性だから」とか「女性だから」と「わかる」には因果関係なんて存在せず、それは、みんな一緒だと思うんです。リンク2本目の記事でH&Mの下久保さんが話す通り、それは間違いなく、セクシャリティーではなく個性の問題です。以前、このお手紙では「デカい主語を使おうとする時は要注意」なんて話をしましたが、「ゲイは〜」なんて文章は典型だと思います。ホント、人それぞれ。同じゲイでも、逞しさを追い求める人から、所作が柔らかな人まで、人それぞれ。だから「ゲイは、男性の気持ちも、女性も気持ちも分かる」ってのは、違うと思うんです。

 ただ一つ言えることは、他の業界よりも心地よく感じる、ことはあるでしょう。私自身、前職の地方紙の新聞記者よりは、ファッション&ビューティ業界の今の方が、心地良い。この業界にいなければ、カミングアウトはできなかったでしょう。つまり居心地が良いからファッション&ビューティ業界に飛び込んだり、居心地が悪かったから他の業界を離れたり、居心地が良いからファッション&ビューティ業界では公言できたり、居心地が悪いから他の業界では隠していたり。そんな理由で、「ファッション&ビューティ業界にはゲイが多いのかもしれないし、ゲイが多いように思える」は真実だと思います。

 「ファッション&ビューティ業界だから、そうなった」のか、それとも「そうだから、ファッション&ビューティ業界」なのかと問われたら、それもまた分かりません。卵が先か?ニワトリが先か?ってハナシです。昔はそんなことを真剣に考えましたが、最近はやめました。もう、あんまり重要じゃないかもって思うのです。

 むしろ重要なのは、一応真実であろう「ファッション&ビューティ業界にはゲイが多いのかもしれないし、ゲイが多いように思える」をどうにか役立てることはできないか?です。その意味で、P&Gのアライ育成プログラムの外部提供は、ステキだな、って思います。「ゲイが多い、もしくは多いように思える」業界の知見は、LGBTQ+に対する包括性を模索する他の業界にとって「参考になる」と思われそうです(無論、業界の中でもP&Gの取り組みは、本当に素晴らしく先進的だと思います)。「ゲイは〜」ではなく、「ゲイが多い(多そうな)業界は〜」という文脈で考えるってアリかもな。そんな風に思うのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターです。「WWDJAPAN Digital」が配信する記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDJAPAN」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在8種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

業界に贈るZ世代の声 ファッション系サークル所属の 大学生がサステナブルを語る

「WWDJAPAN」9月20日号は、ファッション系のサークルに所属する大学生とタッグを組んで、Z世代のファッションやサステナビリティに関する意識に迫りました。青山学院大学、慶應義塾大学、上智大学、早稲田大学から生まれた団体の活動内容や業界への思い、お気に入りのアイテムなどを紹介します。ファッションが好きだからこそ洋服の大量廃棄問題や環境への負荷について、学生目線で「できることはないか」と考える学生…

詳細/購入はこちら