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「居心地の良い場所」を与えてくれた皆さんにカムアウト エディターズレター(2020年10月23日配信分)

※この記事は2020年10月23日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「居心地の良い場所」を与えてくれた皆さんにカムアウト

 下のリンク1本目の記事に格納した動画にあるほど「自分を偽る」ことはありませんでしたが、同じくセクシャル・マイノリティーの自分にとって、最初の勤め先はフィットしていませんでした。

 地元の新聞社の20年以上も昔の話です。言う側に悪気があるワケでもありません。むしろ当時から、善意ゆえの言葉であることも理解していました。でも会社で上司から「お前も早く結婚しないと、田舎の支局に赴任した時に寂しいぞ」と諭され、署周りで警察官から「総務の婦警さんと合コンしたら?セッティングするよ」と言われるたび、「あぁ、またこのカンジか……」と思い、バリアやシールド、エヴァで言えば「A.T.フィールド」を展開。そのたびに薄ら笑いを浮かべて、事が収まるのを“やり過ごす”時間は、まぁまぁ“変な汗をかく”タイミングでした(笑)。

 そこからファッション業界に籍を置き、友人が増え、“変な汗をかく”機会はだいぶ減り、「そろそろ打ち明けてもいいかな~。別に、打ち明けなくてもいいんだけど」くらいの感覚のまま打ち明けたのが、このお手紙です(笑)。皆さま、これからもよろしくお願いします(照)。今、私が思うのは、「ファッション&ビューティ業界に巡り会えてよかった」「私の結婚と、孫の誕生を楽しみにしていた両親にはごめんなさい(2年前、打ち明けています)」、そして「自分が人口増に貢献できない分(現段階では!?)、産休・育休を取得する人には心から万歳三唱」くらいでしょうか(笑)。

 「ファッション&ビューティ業界に巡り会えて良かった」は、本当に、心の底から、そう思っています。前職では、地元の婦警さんと結婚して故郷に骨を埋める先輩も多く、「仲間」とか「同志」と呼べる人がいなかった私は、ただ漠然と不安でした。一方のファッション&ビューティ業界には、「仲間」や「同志」がたくさんいます。トム・フォードのようなロールモデルは、本当に心強い存在です。

 願わくば、このP&Gの取り組みなどを通して、ファッション&ビューティ業界が、昔の私のように漠然と不安だったセクシャル・マイノリティーに対して「『仲間』がいるよ!」「『同志』はきっと見つかるよ!!」「あなたも『仲間』で『同志』だよ!!」とのメッセージを発する事ができたら、とっても素敵ですね。

 皆さんは、私に「居心地の良い場所」を教えてくれた業界なんです。だから、もっと大勢に「居心地の良さ」を提供できるはず。そうなれたら、私たちの社会的存在意義は、ますます大きくなりますね。オフィシャルに発表した今日から、私も、もう一段ギアを入れ、皆さんと一緒に業界のダイバーシティー&インクルージョンに取り組みたいと思います。

 余談ですが、P&Gの記事内に登場する大倉ディレクターは、私と同じ静岡出身。母校も同じ、静岡高校です。とっても誇りに思います。

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